佐倉がOBの巨人長嶋茂雄終身名誉監督のお守りパワーで、優勝候補の習志野と接戦を繰り広げた。3-7の7回表、堀内幹仁監督(60)は、選手たちに「長嶋さんがついている! パワーをもらうぞ!」と叫んだ。その手に握りしめられていたのは、6月4日「長嶋茂雄記念岩名球場」リニューアル記念試合で発売されたキーホルダー。背番号3が刻まれていた。

 先頭の新井翔馬内野手(2年)の右中間を破る三塁打を足がかりに吉川武仁捕手(3年)のスクイズ、代打・古屋智紀内野手(3年)の適時打で2点差に追い上げた。主将の下水流和輝外野手(3年)は「大先輩のおかげで前向きに戦えた」と胸を張った。

 「相手は強豪校。1点を取っても勝てない」と、犠打を使った手堅い佐倉野球を封印。狙い球を直球に絞り積極打法に。2回に2点先制すると、自信を手にダイヤモンドを駆け回った。

 県内屈指の進学校で、夜7時30分に練習を終えると、全員塾へ向かう。今年は打力強化を目標に掲げ、塾が始まるまでのわずかな時間と朝練で打撃を磨いた。4打数4安打の新井は「成果を出せた」と敗戦にも胸を張った。堀内監督は、今年定年を迎え、佐倉で指揮を執る最後の夏。「いい試合ができた。選手たちには感謝しかない」と、涙で健闘をたたえた。【保坂淑子】