八王子学園八王子(西東京)が、早実に雪辱した。チーム一丸の総合力で勝負する「ありんこ軍団」の真骨頂を発揮し、7-6で競り勝った。日本ハム清宮幸太郎内野手(19)が1年だった15年から、4年連続の対戦。昨夏、清宮に高校通算107号を浴び、準決勝で敗戦。左翼で強烈な1発を目に焼き付けた初鹿野滉平外野手(3年)が、3打点でやり返し、熱戦を勝利に導いた。

 弾丸ライナーで右中間を破った。リードを2点に広げ、迎えた6回1死満塁、八王子学園八王子・初鹿野は直球をはじき返し、走者一掃の適時三塁打を放った。1年前の夏、清宮の高校通算107号が「清宮シフト」で左中間を守る自身の頭上を越え、チームも敗戦。「打たなきゃ勝てないなと。清宮さんみたいに、走者をかえせる打者になりたいと思った」。あの日心に誓った、勝負どころでの一打で勝利を引き寄せた。

 走攻守の総合力で7-6の熱戦を制した。守備では6回無死一、二塁、バントの小飛球を一塁手の松野がワンバウンドで捕球。三塁、二塁と転送し、ピンチを脱した。攻撃では6回無死一塁から三塁線にバント安打。さらに同無死一、二塁から投手と一塁の間の絶妙な位置に転がし、連続バント安打。小技で作った好機で4点を奪った。早実投手陣を含め、低めの「動くボール対策」として取り組んだスポンジ&プラスチックボール、細いバットを使った練習も巧打に直結した。

 前夜のミーティングで安藤徳明監督(56)は「独特の雰囲気を持ったチーム。気後れしないように、自分たちの力をぶつけるんだ」と鼓舞した。息子の大斗主将(3年)は試合中に体調不良を訴えながら、8回表まで気迫で出場。救急車を待たせながらも試合終了まで見届け、チーム一丸の総合力で勝負する「ありんこ軍団」の底力を示した。安藤監督は「抽選で佼成学園、早実と決まって、『大変ですね』と言われたが、『今に見てろよ』と。今日負けると負け癖がつくので勝てて良かった」と笑顔で話した。【久保賢吾】