部員11人の大島(東東京)イレブンがまた勝った。この日は最大3点差をひっくり返す逆転勝ちだ。「(4回戦は)あこがれていたんで、うれしいです」。過去2試合、喜びを表さなかったエース荒田奏斗投手(2年)もこの日は両手でガッツポーズだ。エースは「いきなり2ランを打たれ、心が折れそうだったんですけど」と振り返った。

 1回、先頭打者に左前打され、直後に2ランを浴びた。2回に2失点。その裏味方が逆転しても、まだ調子が出ない。3回に再度2点を失った直後だ。天野一道監督(49)がバッテリーを呼んだ。「お前らが沈んだらゲームが壊れる。まだこの点数ならいける」。この声でよみがえった。

 決勝点をたたき出した山住魁斗遊撃手(2年)も監督の声に助けられた。同点で迎えた7回2死二塁、速球をとらえた打球は左中間を破り、決勝の走者を迎えた。夏前、同監督の指導で打撃フォームを改造した。トップ(バットを振り出す位置)が定まらないことからバットを1度前に突き出し、トップに持って行く。打席に入る前、こう言われた。「オレを信じろって。そしたら打てました」。

 天野監督は「選手はよくやりました。東京の暑さがこたえてバテてます。毎回島から船の往復もあるし、こっちでは練習場所もないですし。これから船のキャンセルをしないと。もうバタバタです」。敗れれば、夜11時の便に乗り、翌朝5時に島到着のはずだった。「勝ったんで、船でなく、宿舎で寝られます。次も頑張ります」。山住の声が弾んだ。【米谷輝昭】