旭川大高が白樺学園を7-2で下し、3年連続で初戦を突破した。

 快音とともに放たれた打球は、大きな弧を描いて、バックスクリーン右に吸い込まれた。旭川大高の持丸泰輝(2年)が1発で流れを引き寄せた。1点を追う3回1死二塁。高めに浮いた変化球を完璧に捉えた。「しっかりボールに食らいつけた。1本出てよかった」。逆転2ランで、3年連続初戦突破の立役者となった。

 6打数2安打だった地区大会では、自身の打撃に不満足だった。「打点が稼げず、チームに迷惑をかけていた」。4番としての責任を感じた。この日の球場入り前、同校で約30分間ティー打撃を行った。「朝振り込んできたので結果が出せた」。4安打5打点の固め打ち。端場雅治監督(49)も「いいところで、打てるようになった。4番の自覚が出てきた」と成長に目を細めた。

 理想の打者は、本塁打王3回を誇る松井秀喜氏。打撃論について書かれた本を読み、打撃に役立てている。「同じ左打者として尊敬出来る。(技術面では)トップの位置や打席へ入る時の気持ちの面」を参考にする。少年時代には松井氏と同じ背番号「55」をつけたこともある。

 生後1カ月健診で3カ月の赤ちゃんと間違われた。幼少期から食欲は旺盛で、学校へ持参する弁当は多い時で3つ。好物のハンバーグや鶏の唐揚げとともに、白米は1日5合も平気で平らげる。176センチ、78キロ。特別大きくはないが、がっしりと筋肉が詰まった体つき。ベンチプレス75キロ、握力も60キロと、ゴジラにヒケを取らないパワーがある。

 旭川大高の夏甲子園出場は通算7回。だが09年以降、9年間遠ざかっている。「堂々と4番らしく。自分のやるべきことを、1戦1戦やっていく」。古豪復活へ。“旭川のゴジラ”がチームを波に乗せる。【山崎純一】