いわき海星は3-1で福島成蹊を振り切り、小名浜水産時代を含む創部33年目で初の8強進出を決めた。4回裏、スクイズと相手捕逸で2点を先取。基本に忠実な小技を絡めた「ミラクルプレー」で13年センバツ出場に続く甲子園にまた1歩近づいた。

 ノーシードのいわき海星が、4年ぶりの夏白星を挙げた開幕戦から4連勝で、準々決勝に名乗りを上げた。2点リードの9回表1死一、二塁のピンチをしのいだ選手たちは大喜び。水産校らしく、応援席では「力水」と「勝利の呼び水」が派手に飛び交った。

 25年ぶり2度目の4回戦で16強の壁を越えた。地元球場だけで勝ち上がった若林亨監督(51)は「(1回戦の)小さいヤマから来るのはしんどい。地の利を生かし、力で越えられた」と選手たちをたたえた。

 4回裏、4番水野太智主将が攻撃の口火を切った。右前打で出塁。続く5番岩崎智作投手(ともに3年)が四球を選び、6番福山和暉内野手が3バントで送り、7番吉田楓内野手(ともに2年)の初球スクイズで水野主将が先制のホームを踏んだ。直後には三塁まで進んだ岩崎が相手捕逸で生還。この日3安打2得点の水野主将は「自分が塁に出てチャンスを作るつもりでした。歴史を変えられた」と胸を張った。

 守っては岩崎が要所を締め、11安打1失点と粘投した。バックも2回表1死一塁で三河優人内野手が二塁へのグラブトスで併殺。若林監督も「スーパーゲッツー」と舌を巻いた。さらに6回表には遠藤和也左翼手(ともに2年)がダイビング捕球するなど、岩崎をもり立てた。チームは大会前、「いわきのこんぴらさま」と呼ばれる金刀比羅(ことひら)神社に必勝祈願。若林監督を含むチーム全員がお守りを大事にしている。若林監督は「お守りかな? 神がかり的なプレー」と笑う。明日19日の準々決勝は福島と戦う。地の利と御利益も味方にする若林監督は「相手じゃなく。負けることも覚悟の上で自分たちの野球を貫きたい」と迷いはない。【佐々木雄高】