連覇を狙う明桜の山口航輝外野手(3年)が、全打点を挙げて8強進出を導いた。

 0-1の2回裏先頭で、左翼ポール際に推定125メートルの弾丸ライナー同点弾。11回裏には右越えサヨナラ打も放ち、2-1で横手を退けた。15日に秋田最速150キロを記録した金足農の吉田輝星投手(3年)をライバル視。昨夏決勝で右肩を亜脱臼した影響もあり、本職の投手としての出番はまだないが、100回記念大会の主役の座を本塁打で奪い返す。

 山口の「よっしゃあ」の雄たけびとともに、打球は右翼手の頭を越えた。11回裏無死一、三塁。敬遠かとも思えた場面。初球が内角にくると「勝負だなと燃えてスイッチが入った」。外角低めに変化した2球目を、逆らわずに逆方向へ振り抜いた殊勲打だった。「応援がすごくて打てる気がした。結果につながってよかった」と安堵(あんど)の表情で振り返った。

 初打席でも、魅せた。1点を先制された2回裏。内角高めの変化球を「しっかり上からたたいて対応できた」。低く鋭い打球は外野フェンスを楽々と越え、芝生席で1度跳ねて場外に消えた。12日の開会式では選手宣誓で「100回大会の歴史に名を残す」と誓った。「吉田に150キロという歴史をつくられて悔しい。『100回大会と言えば山口』と言ってもらえるように、ホームランを、最低でもあと3本は打ちたい」。02年大会で金足農の遠藤勇樹選手が記録した大会最多4本を最低目標に掲げた。【鎌田直秀】