<高校野球東兵庫大会:神戸国際大付10-0甲陽学院>◇19日◇3回戦◇明石トーカロ球場

 中高6年間、いつでも一緒にいた仲間たちとの最後の夏が終わった。甲陽学院(東兵庫)の吉田篤生投手(3年)は真正面から立ち向かった。マウンドに上ったのは3点を追う3回。「相手は強いと分かっていた。打たれても良いと思って投げた」。逃げることなくストライク先行で押した。9安打を浴び7失点。5回コールド、1時間7分で幕を閉じた。

 野球も勉強も全力投球してきた。中高一貫の名門進学校。練習時間は約2時間、グラウンドもサッカー部と共用する。高校入学を機に、勉強のため部活を引退する生徒もいるが、吉田の学年は例年より多い人数が高校でも部活を続けた。「勉強もあるけど野球をやるのは覚悟の上。みんなで最後までやろうと言っていた。一体感が強い学年でした」。

 京都大学医学部を目指す吉田は、午後6時に練習を終え、10時まで塾の机に向かった。朝は7時すぎに学校に到着。朝礼が始まるまでの隙間時間も生かしてコツコツ勉強してきた。

 これからはボールもグラブも置き、将来医者になるために受験勉強が本格的に始まる。「小さい頃ぜんそくでよく病院に行っていた。将来を考えたときに挑戦してみたいと思ったんです」。次のステージへ。仲間と過ごした濃密な時間が支えになる。【望月千草】