頼れるキャプテンの本格復帰で新オーダーが機能した。第1シード東北が8-1の7回コールドで東北学院榴ケ岡を下し、16強に一番乗りした。主将の岩沼和希内野手(3年)が「6番右翼」でスタメン復帰。1回に2点適時二塁打でリードを広げ、連続盗塁からダメ押し点につなげた。春から不動の1番だった杉沢龍内野手(3年)を3番に置く新打線からも、適時打4本を含む10安打が生まれた。

 主将の元気な姿が何よりの特効薬だった。3点に終わった15日の初戦から一転、岩沼主将が「速攻」の起爆剤になった。初回に犠飛で先取点を奪い、なお2死二、三塁。「試合に出られず迷惑を掛けていたので、1打席目で絶対に打ってやろうと」。カウント2-2からの内角直球を振り抜き、鋭く左翼線を破る適時二塁打で2者が生還だ。

 6回には「足攻」で4点をもたらした。1死から死球で出て、「アウトでもいい。相手バッテリーに盗塁を意識させることが必要」と、二、三盗に連続成功。スクイズで5点目の生還を果たし、新1番石川原太陽内野手(2年)らの連続適時打にもつなげた。

 東北大会で準優勝したが、岩沼は6月8日の明桜(秋田)戦でヘッドスライディングした際に、左親指を剥離骨折した。付近の靱帯(じんたい)も損傷し、ギプスが外れたのは開幕1週間前。さらに2カ月はプレー禁止の診断にも、「最後の大会なので、そんなことは言ってられない」と酸素カプセルに通って回復を急ぎ、開幕3日前からスイングを再開した。インパクト時の衝撃を和らげるため、左人さし指を立てる握りにも変更。初戦は代打(四球)で目慣らしした。

 我妻敏監督(36)もホッと一安心だ。「キャプテンが(先発)復帰1打席目で打ったのは、チームにとっても、岩沼にとっても大きい」。初戦の辛勝で打線をテコ入れし、春から1番だった杉沢を、岩沼の定位置だった3番に入れた。1番には背番号17の石川原を抜てき。東北大会後はBチームに降格も、「打ちやすい打順だし、1番が打てばチームも勢いに乗る」と3安打3打点と期待に応えた。我妻監督は「チームで一番打てるのが杉沢。一番状態のいいのが石川原。1、3番をどうにかしたかった」。不安を1つ1つ解消し、2年ぶりの覇権奪回に向かう。【中島正好】