前橋育英の苦労人・梅沢修二外野手(3年)がサヨナラ打で3年連続の甲子園出場へ導いた。5-5の9回1死一塁。内角低めの直球に体が反応した。捉えた打球は左翼線を破り、そのままフェンスまで到達。一塁走者を生還させた。「うれしいです。まさか自分が決めるとは思っていなかった」と興奮気味に話した。

 天国と地獄を見た。中3の時のことだ。世界少年野球大会で日本代表に選出され、主軸打者として活躍。その時のチームメートが大阪桐蔭・柿木蓮投手や東海大相模・小松勇輝主将など名門で活躍する。甲子園で再会したい…。期待を胸に入学した前橋育英では度重なるケガでリハビリ続き。2年春には腰の手術を経験した。だが、どんなに苦しくても絶対に腐らなかった。「人一倍やらないといけない」と考え、黙々と振り込んだ。大会直前の練習試合で結果を出し、今夏は背番号16ながらも毎試合スタメンの座を手にした。

 苦労人の活躍に荒井直樹監督(53)は「うれしいですよ。1人でスイングしていたし、地道にやっていたことがこういうところで出たと思う」と目を細めた。梅沢は甲子園出場に「負けたら終わり。悔いが残らないようにやりたい」。大舞台でも、苦労を知る男の活躍がチームを勢いづける。【山川智之】

 ◆前橋育英 1963年(昭38)創立の私立校。生徒数は1696人(女子1006人)。野球部は64年創部で部員数は70人。甲子園出場は春2度、夏は4度目。主なOBは西武高橋光成、オリックス神戸文也。所在地は前橋市朝日が丘13。山田耕介校長。

◆Vへの足跡◆    

1回戦11―4藤岡工

2回戦4―2沼田

3回戦9―1新田暁

準々決勝3―1前橋商

準決勝13―3関東学園大付

決勝6―5高崎健康福祉大高崎