大阪桐蔭・西谷浩一監督(48)が、教え子たちと100回大会を飾る偉業に挑戦する。2度目の甲子園春夏連覇なら史上初。夏本番を告げる青空に西谷監督の「本当の挑戦権を得ました。正々堂々と臆することなく、春夏連覇に挑戦したい」の宣言が吸い込まれた。

 監督個人の大記録もある。春夏通算7度目の優勝なら、PL学園・中村順司元監督(71=名古屋商大総監督)超え。“個人記録”については「気が早いですね」と苦笑いも、春夏戴冠に全力で挑む。昨夏甲子園大会3回戦、仙台育英戦でサヨナラ負けし、涙にくれた選手の姿を忘れない。敗戦は指導者の力不足。その戒めが西谷監督の原点だ。

 だからこそ、チームをより強力な集団に育て上げた。俊足強打で高校球界理想の1番打者と思われた藤原恭大(3年)の4番抜てきは、2月にコーチ陣に明かした。藤原のスイング力を見極め、チーム一の好打者、中川卓也主将(3年)、1発を含めた意外性のある根尾昂内野手(3年)と中軸を並べることで、日本一の打線を組み上げた。腹心のコーチ陣ですら驚いた「藤原4番」も、四六時中野球を考える西谷監督ならではの着想だった。

 「全員の力で2年連続で春夏連覇への挑戦権を得た。とにかくやってやるの気持ちがさらにわいています」。充実の戦力を率いて、史上初の夏に臨む。【堀まどか】

 ▼大阪桐蔭は今年のセンバツで史上3校目の大会連覇を達成。過去に連覇した30年第一神港商、82年PL学園はその年の夏に地方大会で敗れており、春連覇校が夏の全国大会に出場するのは史上初めて。