<全国高校野球選手権:日大三16-3折尾愛真>◇10日◇1回戦

 プロで大化けする可能性がある“隠し玉”候補だ。高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)が、日大三(西東京)の2番手で好投した背番号「10」の左腕、河村唯人投手(3年)の「招き猫投法」に着目した。

 身長175センチの河村の直球は130キロ台中盤がほとんど。恐らく現時点で注目しているスカウトは少ないだろう。ただ、その直球に打者は振り遅れ、差し込まれる。ボールの出どころが見えにくいフォームは「招き猫投法」と言われたヤクルト成瀬にそっくりだ。

 成瀬がロッテに入団したばかりの頃、シート打撃で対戦した時に不思議な投手だと思った。スピードは遅いのにタイミングが取りづらく、差し込まれる。河村の投球フォームもそう。テークバック時に左手で握ったボールが<1>左太ももで隠れ<2>左脇腹で隠れ<3>最後は右手のグラブでも隠れている。打者にとっては、リリースの瞬間までボールが1度も見えない。通常は<1>の時点で、ボールが背中の後ろ側に見えるもの。タイミングを取りたくても取るポイントがないから、振り遅れる。

 成瀬の直球も140キロ出なかったが、07年に16勝、09年からは4年連続で2ケタ勝利を挙げた。河村はコントロールも良く、切れのある直球がコーナーに決まっていた。木製バットになれば、さらに詰まったゴロや凡フライも増えるだろう。中継ぎより、打たせて取ってゲームをつくる先発タイプの魅力を感じる。