昨夏準優勝の広陵(広島)が初戦で敗れた。7回の3失点で力尽きた。ぼうぜんとするナインの中で、マルチ安打で気を吐いた4番の河端も「勝ちたかった。悔しい」と目線を落とした。2点を追う2回には先頭で右中間を破る二塁打を放ち、名門の4番として躍動。それでも勝利はつかめなかった。

 昨夏の甲子園に出場が決まった直後の練習で、悲運に見舞われた。打撃練習で自打球が左足のすねに当たり、その部分から細菌が入った。化膿(かのう)し、炎症を引き起こしてしまう蜂窩(ほうか)織炎を発症。故障さえなければ、甲子園でもベンチ入りしていたはずだった。決勝まで進んだチームの戦いを、アルプススタンドから見守った。「あの時はチームとしても悔しかったですし、個人としてもあの舞台に立てたっていうのもあるので、今年にかける思いは強いです」と明かしていた。

 地元・広島は西日本豪雨で甚大な被害を受けた。被災者を勇気づけようと全力プレーを貫いた。「最後まで全力を出して、野球をできることに感謝の気持ちを持って挑めた。なんとか勝ってプレーしている姿を広島に届けたかったけど気迫はみせられたと思います」。広島への思いを語り、河端は顔を上げた。【古財稜明】