金足農(秋田)吉田輝星投手(3年)が今日5日、U18アジア選手権韓国戦で、ついにワールドデビューする。先発が濃厚。スリランカ戦の試合中にブルペンで約50球を投げて最終調整した。大会初日の3日から日米23球団のスカウトが集結し「KOSEI」の熱投が世界的にも注目を集めている。

“KOSEIフィーバー”が海を超えた。吉田のワールドデビューを前に、日米のスカウトたちが詰め掛けた球場には熱気が充満していた。ジャイアンツのサレルモ・スカウトは「ヨシダ? 当然、知ってるよ。ヤンキース田中のようなタフな投手だね」と待ち切れない様子。マリナーズのテッド・スカウトは「今年は日本のスカウトは忙しいんじゃないの。ヨシダは映像で見てるよ」と話した。

球場の熱狂とは対照的に、万全の調整で登板に備えた。スリランカ戦の試合中にブルペンで約50球の最終調整。直球に加え、球速差の大きいカーブ、今大会に習得した新型ツーシームを試投し「感触は良かった」と胸を張った。試合後、韓国戦の先発を問われると「どの試合でも投げる準備はしている」と覚悟を話し、永田裕治監督(54)も「決めています。楽しみにしておいてください」と笑顔で話した。

フォームも微調整した。8月31日の宮崎県高校選抜戦は頭がぶれ、帽子を飛ばして投げていた。映像を見た金足農のコーチから3日夜、チームメートの菅原天空内野手(3年)の電話を通じ「頭の上に皿を乗せている感じで投げろ」と助言された。この日の試合前練習では下半身から始動し、ゆったりと約70球の遠投。「バランスが崩れていた。速い球を投げようとして、力が入っていた」と頭がブレないフォームに矯正した。

日本初のアジア2連覇は、韓国撃破なくして語れない。昨年のU18ワールドカップは宿敵に敗れた。「まずは2連覇。そして、去年の先輩の雪辱を果たす」。注目されれば、されるほど力を発揮するのが、吉田という男。国内外からの視線を一手に集め、マウンドに立つ。【高橋洋平】

◆主な大会ルール 今大会から球数制限が採用され、105球を投げた場合は中4日、50球以上は中1日の登板間隔を空けなければならない。連投は3日まで。コールドゲームは5回15点差、7回10点差。9回終了で同点の場合はタイブレークを行う。木製バットを使用。1次ラウンド(R)は4チームずつ2組に分かれ、各組上位2チームがスーパーRに進出(B組はパキスタンが不参加となり、対戦チームは不戦勝)。1次Rの成績を持ち越すスーパーRでは、上位2チームが決勝に進む。