清水桜が丘(中部2位)が、5-4のサヨナラ勝ちで東海大静岡翔洋(中部5位)を退け、初の4強進出を決めた。追いつかれた直後の9回裏2死三塁、1番山沢元輝外野手(1年)が右前にサヨナラ打を放った。

9回裏2死三塁、山沢は、狙っていた外角直球にバットを合わせた。フワリと上がった打球は一塁手の頭を越え、右翼手の前へ落ちた。走者の興津大和外野手(2年)は、ホームインして拍手。山沢はベンチから飛び出した仲間たちに抱きしめられた。「うれしすぎて、頭が真っ白になりました。でも、先輩たちがチャンスで回してくれたので、絶対に打ちたいと思っていました」。

4-3の9回表、左翼を守る山沢は、ゴロの処理を誤る失策を繰り返した。無死と2死の場面で、いずれも打者走者は二塁へ。同点にされた要因にもなったが、2死二塁の状況からは、エース敦賀渉(2年)が、打者を遊ゴロに抑えた。責任を感じた山沢は、ベンチで下を向きそうになったが、敦賀から「気にするな。上を向こう」と声をかけられ、われに返った。

曲田雄三監督(35)も、選手に助けられていた。3回裏1死満塁、6番小林亮太内野手(1年)のスクイズが、ホーム併殺になり、追加点を取れなかった。指揮官は「これは私の采配ミス」と言った。現実に流れは相手に渡り、一時は逆転を許したが、5回裏には連打で再逆転。敦賀も踏ん張り、劇的勝利につなげた。「選手たちの勝ちたい気持ちが強かった。今日は彼らに救われました」。

同校は、2013年創立で初の8強に続いての4強入り。東海大会初出場にもあと1勝だ。切符は3枚で、今日の準決勝は加藤学園と対戦。山沢は「みんなで力を合わせて勝ちにいきます」。引き続き「助け合い野球」で、東海切符をつかむ決意だ。【河合萌彦】