今夏の甲子園に出場した羽黒が、3-2で日大山形に競り勝ち4強入り。昨秋に9回2死から逆転負けした雪辱を果たした。公式戦初スタメンの斎藤耀登(あきと)内野手(2年)が2回表に左越え適時二塁打を放つと、2-2の同点とされた3回には日下部由伸内野手(2年)が決勝の右越えソロ。14年ぶりの秋季東北大会(10月12日開幕、秋田)出場に王手をかけた。山形城北と対戦する準決勝は、29日に荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがたで行われる。

甲子園経験組とメンバー外組が融合し、羽黒が日大山形の2年連続センバツ出場を阻んだ。1-1の同点に追いついた2回表1死二塁、8番二塁の「背番号10」斎藤が、内角高めの直球をフルスイング。適時二塁打に「緊張はしたけれど、ベンチの仲間の励ましも力になった。打った感触は野球人生で一番良かった」と胸を張った。県大会優勝と、東北大会決勝進出が目標。「3年生たちが15年ぶりの甲子園という重い扉を開いてくれたので、自分たちも(14年ぶりセンバツ出場の)新しい扉を開けたい」と力を込めた。

主将の日下部ら、この日の先発9人中6人を占めた甲子園メンバーに対する反骨心も、原動力の1つだ。「優遇された環境でプレーしている中、自分たちBチームは猛暑の山形に残って練習してきた。その悔しさも晴らしたいんです」。紅白戦など実戦練習では、すでに競争が激化。その中で勝ち抜いてきた自信もある。

副将にも任命されると甲子園組の同学年に提案した。「私生活から見直そう」。1つは、午前5時起床で7時半まで続く朝練習後の授業で、居眠り厳禁を徹底した。「眠さにも耐える集中力がつくことで、試合への入り方も良くなってきていると思う。3年生は終盤に強かったけれど、自分たちは序盤から爆発力で突き進みます」。試合前の“目覚まし役”の自身は、ムードメーカーとしても先頭に立って引っ張っている。

3回には、主砲・日下部が高校通算8号の決勝弾。最速145キロエース右腕・篠田怜汰(2年)も7安打2失点の完投で粘りの投球を披露した。昨秋県大会の2回戦で2-1とリードしながら、9回表に2点を奪われた日大山形との大一番を突破。リベンジ成功に小泉泰典監督(33)は「去年は日大山形さんが逆転勝ちして勢いに乗ってセンバツもつかんだ。今度はうちが、この1勝で乗っていける」。2季連続の甲子園切符獲得へ、結束力が加速してきた。【鎌田直秀】