静岡がサヨナラ勝ちで、残り1枚の東海切符を手にした。9回裏1死一、三塁、2番相羽寛太遊撃手(1年)がスクイズに成功して6-5。加藤学園を振り切り、3年連続24度目の東海大会(20日開幕、三重県内)出場を決めた。24年ぶりの秋季中部大会初戦黒星でスタートしたチームが、「強くない」ことを自覚。泥くささを前面に出して3年連続センバツ出場に望みをつないだ。

静岡の相羽はスクイズのサインを受けて、胸が高鳴っていた。「緊張がマックスでした」。そのタイミングで、加藤学園バッテリーがタイムを取った。これが幸いだった。「気持ちの整理ができました」。初球の内角直球を投手前に転がし、三塁走者の樋口裕紀二塁手(2年)が生還。激闘に終止符を打った。

選手たちが、「泥くさく勝つ」を実践した。2-4の6回裏1死一、三塁、4番夏目武尚一塁手(2年)が遊撃強襲安打を放ち、1点差にした。2死一、三塁となり、6番片平吉信主将(2年)の右前適時打で同点。夏目は8回に無死二塁でこの日2本目の犠打を決め、5番小岩和音(あのん)捕手(2年)の勝ち越し打へつなげた。勝つために、4番でもバントをいとわず。栗林俊輔監督(46)は「打順は関係ない。きっちり仕事をしてくれた」と夏目をねぎらった。

静岡商との中部地区大会初戦に6-10で敗れ、新チームは「自分たちは弱い」と認識した。敗者復活戦を勝ち上がり、県大会4強入り。だが、準決勝の御殿場西には3-9で完敗。「力のなさ」を再認識した。中心選手の小岩は言った。「『泥くさく、がむしゃらに点を取る』とみんなで決めました。同じ方向を見て練習して力がついてきたと思います」。

その一方で、栗林監督は、センバツに出場した一昨年、昨年のチームと現チームを比較し、「そんなに変わらない」と話す。「ただ、このチームは試合をするごとに成長を感じる。東海大会でも良い試合ができると思います」。小岩も「接戦を勝ち抜いてきたことは自信になります。東海大会でも競り勝って、優勝を目指します」と言った。

敗者復活戦からの東海大会出場。どん底を見た名門は、誇りを持って新たな戦いに臨む。【河合萌彦】