札幌大谷野球部の全国切符獲得は、学園として大きな悲願だった。08年度に札幌大谷中、09年度から札幌大谷高(ともに当時女子校)が共学化。09年に創部された野球部とサッカー部は強化運動部として、柱になった。サッカー部はFC東京の下部組織で指導していた田部学氏を監督に招き、4年目の12年に全国高校総体に初出場。野球部は13年の全国切符獲得を目標に掲げ、同年秋の全道大会で決勝進出も、あと1歩のところで届かなかった。

種市政己校長(61)は「何とか野球部もという思いで、学園全体がバックアップを続けてきた」と言う。中学野球部発足前年の07年、札幌市東区中沼の小鍛治組第2、3球場を買い取り、中高のグラウンドとした。大学創部前年の11年にはサブグラウンドを球場に改修、中高大のグラウンドと室内練習場が同じ敷地にそろう環境を整えた。16年春に全道制覇も、春は全国大会にはつながらず、夢は再びお預けとなった。

その16年以降、体制拡充を図る。札幌大谷大の学生コーチを指導サポートに加え今春、学園職員で日体大OBの飯塚典也コーチ(26)と、学生コーチ1人を追加し、スタッフ5人体制へ。それまで船尾隆広監督(47)と、駒大苫小牧で04、05年夏の甲子園を連覇した五十嵐大部長(31)の実質2人体制だったが、同部長は「監督と自分の4つの目では届かない部分も多かった」と言う。部員56人の調子を5人の指導陣で分担して把握。戦力を精査することで競争も増えた。充実した環境とスタッフは、果実を実らせる一因となった。【永野高輔】

◆札幌大谷運動部 サッカー部は総体に5度、選手権に2度出場し、選手権は15年度、総体は今夏に初勝利を挙げた。OBには、17年にセレッソ大阪入りしたMF大山武蔵(20)がいる。フェンシング部、女子バレー部も全国大会の常連で、北京オリンピック(五輪)競泳代表の種田恵(32)は水泳部出身。