創立121年を誇る伝統校が初の甲子園に挑む。古川(宮城2位)は4番エースの千坂優斗投手(2年)が、地区予選から県大会準決勝まで7試合を完投。文武両道の右腕が投打にフル回転し、準優勝を勝ち取って57年ぶりの東北大会切符をつかんだ。初戦は弘前東(青森2位)と対戦。準々決勝で強豪・東北を撃破した県大会同様に、無欲の快進撃を再現する。

古川は文武両道を実践し、春夏通じて初甲子園までの道を開いた。県大会は定期考査の期間がほぼ重なったが、学年1ケタ順位をキープするエース千坂を中心に23年ぶり8強、29年ぶり4強、65年ぶり決勝と壁を突破し、旋風を起こした。

昨年創立120周年を迎えた伝統校。校章には「蛍雪の功」の故事に由来するホタルが描かれる。同校野球部OBで英語科教諭の茂泉公己監督(44)は「時間が少なければ工夫して、集中力を高めればいい。ないことを逃げにしたくない」と、苦学は覚悟の上。将来は数学の教員を志す千坂は投打にフル回転しながら、「家では勉強に切り替え、短時間集中で」と数2で91点を挙げるなど、考査でも全力投球した。

野球部は創部97年の歴史を誇る。1951年(昭26)の宮城大会を制すなど、1県1代表以前に夏の東北大会に2度出場したが、甲子園には届かなかった。新チームは初公式戦となった地区1回戦で、岩ケ崎に1-2の敗戦からスタート。そこから県大会準決勝まで6連勝した。大黒柱は岩ケ崎戦から県決勝(対仙台育英)の5回途中まで、66回1/3を1人で投げた千坂だ。1日からフォーム修正に突貫工事で取り組み、「下半身の体重移動を意識し、もっと強いボールを」と精力的に球威を磨く。

1年秋からバッテリーを組む主将の高橋寛太捕手(2年)も、「ピンチで動じない気持ちが強くなった」とエースに絶対の信頼を置く。9月29日には練習試合で岩ケ崎に雪辱し、チームの成長を実感した。茂泉監督は就任1年目で携わった母校の快進撃に、「目標は甲子園。そこにたどりつくまでの1歩1歩を、目の前の試合を大事にしたい」と、初舞台まで着実に歩を進めていく。【中島正好】