札幌大谷の進撃は飯田柊哉主将、太田流星投手(ともに2年)ら付属中出身だけでなく、外部中出身戦力の奮闘もカギとなった。決勝の札幌第一戦で勝ち越しの右中間2点適時二塁打を放った佐藤颯馬(1年)は函館尾札部中出身。この秋が公式戦初登板で、2試合2回2/3を無失点と好投した196センチ左腕阿部剣友(1年)は北斗大野中から進学した。

硬式6年一貫指導と並行し、学園全体で戦力を高めようと視野を広げ、原石を探し続ける姿勢が、土台にある。スカウティングを担当する、大学、高校、中学総監督の太田英次氏(51)は言う。「学年によりポジション別に不足するところもある。進級する大谷中の選手が増減することもあり、毎年同じようにはいかないので」。飯田ら現2年生は20人以上進級も、今春の進級組は8人と少なかった。このギャップを外部中からの戦力で補い、大きな壁を乗り越えた。

さらに、阿部と佐藤は道南から初めて入部した選手だった。阿部は船尾隆広監督(47)が中体連の函館地区予選に足を運んで視察し、佐藤も学園として情報収集していた。2人とも同じ道南(松前町)出身で数々の実績を残した船尾監督の指導を受けたいと進学を決めた。船尾監督は「2年生には大谷中の選手が多いが、1年生は外から入った子も元気でいい味を出している」と“新風”効果を口にする。

主力の現2年生は、小学6年時に13年秋の全道準優勝を見て入学した世代で、太田氏は「今回の優勝で中学に入ってくれる子どもが増えてくれたら」と期待。結果を出せば、おのずと人材は集まる。次は全国で成果を示し、さらなる進化への糸口とする。【永野高輔】(おわり)

◆札幌大谷の出身中 今秋ベンチメンバー18人中、札幌大谷中10人(全員2年)外部中8人(2年1人、1年7人)で地域別では札幌市5人、小樽市、函館市、北斗市が各1人。前チームは半数9人が外部中(札幌2、苫小牧3、江別1、伊達1、小樽1、函館1)で、3年6人、1年3人。現2年生は付属中が軸で、1年生は外部中が多い傾向にある。