山形中央の最速144キロ左腕・佐藤智輝投手(3年)が楽天からドラフト5位で指名された。これで山形県からは、7年連続で高卒プロ野球選手が誕生したことになる。

「楽天 佐藤智輝 投手 山形中央」。テレビから、楽天5位指名のアナウンスが流れた瞬間、ひっそりと静まった放課後の校舎に、歓喜の雄たけびが響いた。記者会見場に現れた佐藤は「球場へ行って応援してきたチームなのでほっとした気持ちです」。仲間が持参していた、楽天生命パークで無料配布された応援ユニホームに袖を通すと、ナインから何度も胴上げされ、喜びに浸った。

「隠し玉」の存在だ。今夏は3回戦敗退で、佐藤を視察したスカウトは楽天のほか、横浜、ヤクルトの3球団のみ。183センチの長身から最速144キロのストレートが魅力だが、スカウト陣をうならせたのは、カーブを主体に3つの変化球を操る指先の感覚だという。直球の球筋は14年に日本ハムにドラフト4位で入団したOBの石川直也投手(22)をほうふつとさせる。佐藤を含め、計6人のプロを輩出した庄司秀幸監督(42)は「ボールの回転数が多くて石川に似ている。夏に球数を投げていないので肩も酷使していないし、1年間投げ続けられるように、じっくりと鍛えてもらいたい」と期待を寄せた。

山形県高卒選手のプロ指名は、これで7年連続まで伸びた。佐藤は「自分の強みは腕の振り。しっかりと打者に向かって勝負したい。田中将大投手のように見ていて安心感のある選手になりたいです」。スタジアムの観客席から輝いて見えた、あのマウンドが次の舞台だ。【下田雄一】