準決勝第1試合は延長13回、タイブレークで勝ち越した米子東(鳥取2位)が競り勝った。

23年ぶりの選抜大会出場がほぼ確実になった。進学校で知られ、夏の地方大会に第1回大会から参加を続けているレジェンド校の1つだ。

「山陰のおかわり君」が甲子園に初見参しそうだ。米子東の4番、福島悠高内野手(2年)が3本の適時打を含む4安打3打点で勝利に導いた。「練習でやってきたことを思い出しながら、そのまま打席で出せました。率直にうれしいです」と笑った。今大会3試合で12打数7安打、8打点の暴れっぷりだ。

高校通算12本塁打の長距離砲。高々と弧を描く弾道が目を引く。身長185センチ、体重は公称95キロだが、ぐんぐん成長中で最新の計測では98キロ。あこがれは西武中村だ。「中村選手のような打撃でチームに貢献したい」と夢を見る。

大食漢ぶりは本家も顔負け。自宅では夕飯を済ませたあとに自分でチャーハンを作って「おかわり」することも。遠征先のホテルのバイキングでは仲間が食事を終えようとしたところで、さらに皿に山盛り。「今から1回目かよ、って量だったのでみんなに笑われました」と頭をかいた。

延長10回の守備で一邪飛を追って飛び込んだ際に、地面に顔面を強打。鼻血と下唇からも出血した。直後の打席ではなかなかベンチから出てこなかった。「出ます」と監督に直訴すると「なら、血を止めろ」。止血が長引くと判断した審判団は1度、呉の守備陣をベンチに下げた。約5分の中断をはさんで、プレー再開。福島悠は拍手の中、初球を強振して左越えに二塁打を放った。4安打のうち「鼻血のあとの1本が今日は一番よかった」と振り返った。

左腕エースの森下祐樹投手(2年)が完投。「先週の2試合は仲間に助けられた。今度は自分が勝利に導きたかった」。投打の両輪が活躍し、23年ぶりの聖地を引き寄せた。