今夏の甲子園で準優勝した金足農・菊地彪吾(ひゅうご)外野手(3年)が、北東北大学野球リーグの八戸学院大(青森)に合格したことが分かった。「7番右翼」として、近江(滋賀)との準々決勝では9回裏無死満塁でのスクイズで一気に二塁からサヨナラ生還。大垣日大(岐阜)との2回戦でも背中にセミが止まったまま三塁打を放ち「セミ王子」の愛称も命名された。29日は秋田市内での「秋田ふるさと市民賞表彰式」に出席。日本ハムにドラフト1位指名された吉田輝星投手(3年)との将来的な対戦を目標に掲げた。

菊地彪が表彰式に参加した地元民130人に決意表明した。「吉田と一緒に、また野球ができるように頑張っていきたいと思います」。一時は吉田も八戸学院大進学を志していただけに、寂しい気持ちもあるが、プロ入りする仲間に刺激も受けながら、実力をさらに磨くつもりだ。

秋田県勢103年ぶり決勝進出の功績をたたえられ、吉田と同じ記念品も受け取った。チームにはホームベース形のガラス盾。個人では甲子園の土を入れるボール形ガラスボトル。「しっかり土を入れて、子どもができたら自慢したいです」。平日昼間開催に集まったマダム層からの歓声を浴びると、「女性が応援してくれることは、うれしいです」と笑顔も見せた。

甲子園での活躍は印象深い。大垣日大戦では「背番号9」の脇にセミが止まったまま強振。三塁にヘッドスライディングしても離れずセミからの幸運? も受けた。仲間や友人からは「セミ王子」の愛称ももらった。準々決勝の近江戦では自身の強みを最大限に生かした。50メートル6秒0でチーム1の俊足を生かし、斎藤璃玖内野手(3年)のスクイズで二塁から一気に生還し、サヨナラ勝ちを導いた。中泉一豊監督(46)も前日28日の県民栄誉章顕彰式で「生まれて初めてガッツポーズした」と明かしたほど。俊足、巧打、強肩は信頼が厚い。

八戸学院大進学後は、リーグ10連覇中の富士大(岩手)撃破が、最大の使命となる。表彰式に参加した伊藤正子さん(52、秋田市在住)も「吉田くんだけでなく、心を動かしてくれた皆さんに卒業後も頑張ってほしい。近況を知ることも楽しみ」と期待を寄せる。「ヒョウのように強くて、速くて、格好良く」と名付けられた180センチの長身が、吉田の背中を力強く追う。【鎌田直秀】