練習試合が解禁となった今週末、多くの高校球児が球春を迎えたが、今秋のドラフト候補で最速145キロの九州NO・1左腕、宮城大弥(ひろや)投手(2年)もそうだった。10日は秀岳館(熊本)と練習試合を行う予定だったが雨で中止となり、今季2戦目の登板はお預けとなった。だが、8日には日本文理大付(大分)戦で先発し5回1安打無失点で、春の第1歩を刻んでいる。

8日はキレのある直球とスライダーを軸に初回からの5者連続を含む7三振を奪った。直球は、昨秋の九州大会で記録した145キロに迫る144キロを計測した。「いい出だしだと思います。春で147キロを出し、夏は150キロを目標にしています」と気合を込めた。

昨秋の九州大会準々決勝でタイブレークの末、センバツに出場する筑陽学園(福岡)に敗退した。連投できるスタミナをつけるため、冬場は多い日で週6日ブルペンに入り1日100球以上を投げ込み、ボールの回転を意識した110メートルの遠投を取り入れるなど順調に調整してきた。夏へ向け「連投力を増やし、全部投げきるつもりでやっていきたい」と意気込んだ。

発奮材料もある。親交のある横浜・及川雅貴投手(2年)が3月9日の招待試合(対美里工)で今季初登板し151キロを記録したことをネットで知った。U15日本代表でともに戦い、今でも連絡を取りあうライバルに「速くていいボールを投げているのでうらやましい。同じ左腕でレベルの違いはあるが、しっかり埋めて夏の甲子園で再会したい」と刺激を糧に飛躍するつもりだ。

日本文理大付戦はエースで初めて4番打者も務めた。センバツ出場は逃したが、今度は投打の大黒柱として夏にかける。【菊川光一】