心理戦もヒートアップ? 第91回選抜高校野球大会が23日、甲子園で開幕する。初日から履正社(大阪)が大会NO・1右腕の奥川恭伸(3年)を擁する星稜(石川)と激突。

履正社・岡田龍生監督(57)は敵将の林和成監督(43)を前に「ほめ殺し作戦」で揺さぶりにかかった。

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開会式のリハーサルを眺めながら、2人は並んで取材を受けた。注目の奥川の印象を聞かれた岡田監督は迷わず語り始めた。

「日本一の投手。ここじゃなくて、プロの開幕戦で投げていいくらいの力がある。ここ(甲子園)でタイガースでも投げられるくらい完成度が高い。高校におったらあかんくらいでしょう」。毎年、練習試合を行う間柄で、お互いの性格は熟知。林監督はその場を離れたあと“ヨイショ”連発について「まさしくほめ殺し。タイガースに怒られちゃう。作戦には乗らないですよ」と受け流した。

昨秋の公式戦の防御率0・60。今秋ドラフト1位間違いなしと言われる大会NO・1投手。それでも「プロの開幕投手」とは前代未聞の評価だ。

ただ、履正社は本気だった。午後の練習後、同監督は発言について「僕は(OBの)ヤクルト寺島や阪神藤浪を生で見ている。本当にそれくらい評価しています」と真顔で言った。

1週間前から打撃マシンを2メートル前にして体感160キロ近いという剛速球を打者に打たせてきた。昨秋の公式戦11本塁打で、主砲・井上広大外野手(3年)を擁する大会屈指の強力打線はさらに磨かれた。野口海音主将(3年)は「最初はみんな前に飛ばなかったけど、目が慣れて前に飛ぶようになった。対応できると思う」と自信ありだ。

「トップクラスを攻略しないと全国では勝てない。楽しみは楽しみです」と指揮官。甲子園では優勝なし。準優勝2度の壁を破るため「プロの一流レベル」に立ち向かう。【柏原誠】

○…履正社(大阪) エース清水大成投手(3年)も星稜奥川との対決に気合十分だ。「楽しみです。初めての甲子園ですし」。8日の練習試合で左手人さし指付近を打撲したが、19日の練習試合では3回を無失点。「(感覚は)まあまあです」と順調に回復中だ。現時点で登板は未定というが「自分としては投げきりたいですね」と背番号1のプライドを見せた。

○…星稜(石川) 奥川は開会式リハーサル後、履正社・井上らと写真撮影した。人見知りで、会話はほとんどなかったが「大きいなあと思いました」。その後、約30球の投球練習で最終調整。「最後なので気持ちよく投げました。明日からは厳しい戦いになるので」とリラックスしていた。