平成最初と最後の甲子園で優勝という偉業を刻んだ東邦(愛知)が4日、名古屋市の学校に凱旋(がいせん)した。大阪市内の宿舎を出発前に森田泰弘監督が取材に応じた。

この日、還暦を迎えた。前夜、宿舎に戻ってから選手にハッピーバースデーの歌と、花束をもらっていた。試合後に「こんな幸せな誕生日はない」と感激していた森田監督は「メールが100件ほど来ていて、本当に果報者だと思った。こんなにうれしいことはない。支えてくださった皆さまにありがとうを言いたい」としみじみ語った。

「石川を(中学時代に)熱心に誘いました。彼に呼応して、選手が躍動してくれた。私も(昨年12月に)腎臓移植して、あと1年という監督任期のための気持ちを(ドナーから)いただいた。必ず優勝してお返ししたいという思いで『優勝します』と言ってきた。今はホッとしています」と振り返った。

決勝の習志野(千葉)戦は投打の主軸の石川昂弥投手(3年)が2本塁打&3安打完封という甲子園史上初の快挙。記録ずくめの活躍で、平成最初のセンバツ王者が、最後も優勝で締めくくるというドラマを完結させた。東邦は単独トップセンバツ5度目の優勝、同じくセンバツ56勝も同時達成した。

「春の優勝はこれで終わりました。夏に向けていつものようにまたやっていきます」。病気を乗り越え、大役を果たした60歳の指揮官は意気盛んだった。