149キロ腕が道内最強軍団相手に快投した。東海大札幌のエースで、U18W杯(8月・韓国)に臨む高校日本代表1次候補に道勢で唯一選出された小林珠維投手(3年)が14日、甲子園帰りの札幌大谷との練習試合に登板した。

味方の失策などで1回2失点も、4番西原健太、センバツ1回戦米子東(鳥取)戦で先頭打者弾を放った5番北本壮一朗(ともに3年)から連続三振。5月8日開幕の春季札幌地区予選、そして夏の甲子園出場へ向け実力を見せた。

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徐々にギアを上げた。小林は1-8の8回から登板。立ち上がりに四球と暴投、味方の失策絡みで2点を失うも、走者がいなくなると、気持ちをリセットした。

札幌大谷3番石鳥亮(3年)を二ゴロに打ち取り、4番西原への5球目に、この日最速144キロを記録した。ファウルで粘られた直後の6球目は、キレのある外角変化球で空振り三振。5番北本は、直球で空振り三振に打ち取った。

「全然ダメ。30点。西原には直球で押し切ろうと思ったが、コースに投げ分けられなかった。課題ばかり」。西原とは小6時、日本ハムファイターズジュニアのチームメートだった。ライバルに真っ向勝負できず、厳しく自己評価する小林に対し、打席の西原は、その球威に驚いていた。「ファウルで粘ったと言うより完全に振り遅れ。速くて打てない」。甲子園でも4番に座り、2戦6打数2安打と結果を出した好打者が直球に振り遅れ、変化球で完全に体勢を崩された。

道内高校最速149キロ腕は、苦しみながら進化を続けている。初めて1番を背負った昨秋は、札幌地区代表決定戦で札幌光星に敗れた。今春の関西遠征では履正社(大阪)との練習試合で先発登板し、4回16失点と打ち込まれた。「球速だけじゃ勝てない。コースに投げ分けられる制球力を身につけないと」。謙虚に自己改革に挑むエースに、大脇英徳監督(43)は「いろんなことを吸収しているし、ボール自体も成長している」と話した。

7日まで3日間の高校日本代表候補合宿では、国内高校最速163キロの大船渡(岩手)佐々木朗希を始め、星稜(石川)奥川恭伸、横浜(神奈川)及川雅貴、創志学園(岡山)西純矢ら高校四天王に練習方法を取材した。「この経験をみんなに還元したい。そして夏は札幌大谷を倒して甲子園に行きたい」。まずはこの春、5季ぶりに道大会へとけん引し、夏の夢切符奪取につなげる。【永野高輔】

 

◆小林珠維(こばやし・じゅい)2001年(平13)5月17日、帯広市生まれ。浦河堺町小1年で野球を始め、登別青葉小に転校した小2から6年まで登別青葉パワーズ、札幌八軒中時代は新琴似リトルシニアでプレーした。東海大札幌では1年秋からベンチ入りし、昨秋から背番号1。家族は両親と兄、妹。好きな選手は米大リーグ・エンゼルス大谷翔平投手。183センチ、85キロ。右投げ右打ち。血液型A。