国内高校生史上最速163キロを投げた大船渡(岩手)の佐々木朗希投手(3年)に1枚の写真を見せた。「菅原謙伸ですね」

即答だった。花咲徳栄(埼玉)・菅原謙伸捕手(3年)。全国的にはまだ無名の捕手をなぜ。「菅原君はたくさん話しかけてくれましたし、投打の中心だったのでよく覚えています」。

記憶は7年前、少年野球岩手県大会にさかのぼる。開会式でたまたま隣り合った菅原が「色白で細い」という第一印象の佐々木に話しかけた。「なぜか、いじりまくりました」という。試合は佐々木の猪川野球クラブ(大船渡市)が、菅原の千厩少年野球クラブ(一関市)に26-0で圧勝。投手だった菅原は佐々木に本塁打も浴びた。

小6での再戦は8-3と点差は詰まったが、中学以降は接点はない。佐々木は「令和の怪物」と呼ばれるようになり、菅原も二塁送球は実戦で最速1・82秒をマークするまで成長。チームメートでドラフト候補の韮沢雄也遊撃手(3年)らの視察に訪れたスカウト陣が、その強肩ぶりに名前をインプットするほどだ。

21日には春季埼玉大会が、5月1日には岩手県内の公式戦(沿岸南支部予選)が始まる。菅原は「夏の甲子園で会いたいし、打席にも立ってみたい」と再会を夢見つつ、7年前を笑って振り返った。「いま思うと、よく初対面の佐々木君と話せたな、いじれたなと。今度会ったら、もう『佐々木さん』ですよ」。【金子真仁】