高校生歴代最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)を擁する大船渡(岩手)の春季岩手県大会(17日開幕)初戦の相手が、釜石に決まった。9日、盛岡市内で抽選会が行われ、勝ち進んだ場合も決勝までの全試合をメイン会場の野田村ライジングサンスタジアム(野田村野球場)で行うことも決定した。上位3校に与えられる東北大会(6月6日開幕、山形)出場に向け、昨秋の県大会3位決定戦で敗れた専大北上との準々決勝が、最初のヤマ場となりそうだ。

佐々木朗希フィーバーは、岩手県北東部の人口約4000人の漁港村、野田村で、さらに過熱しそうだ。組み合わせ抽選会に出席した大船渡・千葉宗幸主将(3年)の引いた番号は、決勝までの全5試合が野田村開催の「23」。県高野連の大原茂樹理事長は「本当にホッとしました。一番大事なのは、お客さんも混乱せず、選手がベストな状況でプレーすること。一番適していたのが野田のライジングサンスタジアムでした。よく引いてくれました」。トーナメント表の試合会場を決めた上での抽選。「もし二戸の大平球場のブロックに入ったら、私と会長の2人で頭を下げて、球場変更をお願いする予定でした」と安堵(あんど)の表情で大きく息を吐いた。

今大会で使用される3球場の収容人数は、いずれも外野芝生席を開放しても、約4000人程度。最大の問題は駐車場の確保だった。ライジングサンスタジアムは近隣公共施設や村役場、久慈工グラウンドなど約1000台のスペースを確保できていたが、他球場は大量確保が困難だった。地区第1代表の大船渡がすべて同球場で試合をする確率は7分の1。対戦相手以上に、奇跡的な“クジ運”が、混乱防止の頼みの綱だった。

千葉主将は、初戦の釜石との対戦に向け、「同地区(沿岸南地区)の相手なので、何回も対戦しているんですけれど、手のうちが分かっているのでやりづらさはある」と気を引き締めた。目標の東北大会出場へは昨秋の3位決定戦で10-11と敗れた専大北上との対戦が予想される準々決勝が、最初のヤマ場となる。

地区予選全2試合で計24得点と、打線も好調。「点数もとれていたし、失点を抑えられるように基本をもう1度見直したい。朗希も含めて、みんな気合が入っています」。準決勝では花巻東と対戦する可能性もあり、目標達成にはセンバツ出場の盛岡大付など難敵が続々。試合会場問題は、主将の強運でクリアした。次の注目は、いよいよ本題の佐々木の投球だ。【鎌田直秀】

◆野田村ライジングサンスタジアム(野田村総合運動公園野球場) 収容人数は4100人。両翼100メートル、中堅122メートル。バックネット裏は屋根付き。照明6基。外野席は芝生。過去にはプロ野球イースタン・リーグや北東北大学野球リーグも開催。最寄り駅は三陸鉄道北リアス線の陸中野田駅。住所は岩手県野田村野田第24地割43の27。

◆八幡平市野球場 収容人数は4454人。両翼92メートル、中堅122メートル。外野席は芝生。昨秋の県大会では佐々木朗希も登板経験あり。最寄り駅はJR花輪線大更駅。岩手県八幡平市大更第37地割105の2。

◆二戸市大平(おおだいら)球場 両翼97メートル、中堅121メートル。外野席は芝生。照明6基。選手バスの駐車場は形状から底をこする恐れあり。最寄り駅はいわて銀河鉄道線斗米駅。岩手県二戸市福岡字大平59。