八戸工(青森2位)が6-3で能代工(秋田)の反撃を振り切り、創立76年目で青森県勢としても初の春優勝を飾った。

3連投のエース右腕・上野(うわの)喜典主将(3年)が7安打3失点完投。打線も11安打で援護した。組織の規模縮小を決めた学校方針により、20年度限りの閉部を告げられている状況下で、選手たちが発奮。部存続を強力にアピールした。

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北東北(奥羽)勢として過去2度の全国出場実績を持つ八戸工が、連続出場した78年以来41年ぶりの全国切符獲得に弾みをつけた。昨秋の東北大会優勝枠で、春Vの弘前工に続く千載一遇の県第2代表から東北王者に輝いた。硬式野球部OBで就任3年目の中村和覚監督(39)は「それぞれの役割を果たしてくれた。自信にしてほしい」と目を細めた。

3戦連続先発の上野主将が、継投予定だった7回に続投を志願。8回まで3安打1失点と好投した。5点リードの最終9回に2失点したが、焦ることなく最後は冷静に空振り三振に仕留め、仲間たちと喜びを分かち合った。まさに「大」の字を描くような大きなテークバック。上野主将は「みんなが打ってくれたので点差があった。打たれた分(最後は)三振を取れてよかった」と主戦の務めを果たした。

打線は初回、2年生2人の活躍で主導権を握った。2番大嶋幸輝外野手の中前打を口火に、2死二塁から4番三本木和都内野手が左前に先制打を放った。3安打1打点と活躍した三本木は「各県1位がきている大会で打って勝てて良かった。自信になりました」と振り返った。

選手は3年生12人、2年生11人の計23人。同校は将来、現在の7学科から5学科への縮小を検討中で、20競技の運動部も今春から軟式野球部とソフトテニス部の入部募集を停止した。中村監督は「入りたいという1年生はいるのですが」と困惑しながら、今回の優勝に部存続の望みを託した。

29日からは全国につながる北東北大会出場を懸けた県大会が始まる。春の決勝は1-3で弘前工に惜敗。3戦無失策と守備も堅く、中村監督は「悔いを残さないように力を出し切ってほしい」と、自信を持ってナインを送り出す。【佐々木雄高】