第101回全国高校野球選手権山形大会(7月11日開幕、荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがたほか)の組み合わせ抽選会が27日、山形市内で行われた。

春の県大会8強で第8シードの長井は、甲子園出場への「意識改革」で成長中。3月には関西遠征で強豪と練習試合を行うだけでなく、センバツも生観戦して甲子園球児のあるべき姿を学んだ。初戦の2回戦では山形工と荒砥の勝者と対戦。置賜地区では91年の米沢工以来2度目となる頂点に挑む。

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長井の選手らは、練習メニュー案を自分たちで考え、実践する。シートノックの内野ゴロは高校トップレベルの打者を想定して4・2秒以内に一塁手のミットへ。フリー打撃は投手を前に立たせて150キロを体感。大谷部峻輔主将(3年)は「甲子園出場するために、どれだけ腹を決めて2年ちょっとの高校野球に熱を注げるか。県立高校でも強豪私立に勝てると思っています」。進学校ゆえに練習時間は限られるが、ノックや打撃練習場所を増やして無駄を削除するなど、工夫を凝らしてきた。

昨春に就任した小原宏幸監督(56)による意識改革が転機となった。時には練習中に動きを止めて、プレー理論を頭にたたき込む。約4時間、1つのアウト、勝利に向けた戦略を語りあった日もあった。現チームの総仕上げは3月下旬に4泊5日で実施した関西遠征。今春の大阪府大会上位校に接戦で勝利したことも自信。大敗しても甲子園常連校の取り組む姿勢などを間近で見たことも収穫だった。2日間は甲子園で星稜(石川)-習志野(千葉)戦などセンバツ観戦。球場内の甲子園歴史館でも予定時間を超えて熱中した。

エース右腕・島貫健太郎(3年)も「星稜の奥川投手はキャッチボールから球の回転などに気をつけていた。啓新(福井)の投手はテンポがすごく良くて、安打を打たれても失点しない」。次から次へと脳に焼き付けた詳細を言葉にする。投球されたボールのキレや、打球スピードなどは差を感じたのも確かだが、夏本番まで少しずつ課題を消化している。

中学までは軟式経験者がほとんど。夏以降に硬式に慣れるために県内の中学生が集まって試合をした置賜地区の選手らが、14年夏8強の地元校に憧れて進学した。今春の準々決勝では鶴岡東に終盤の自滅で大差を付けられたが、通用する部分も多くあった。小原監督も「5合目からは頂上は見えない。甲子園レベルを体感して、野球人だけでなく戦略家になってきましたよ」と手応え。2回戦では監督の前任校と対戦する可能もある。1戦必勝で山形の頂に立つ。【鎌田直秀】