大船渡(岩手)の最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)が6月30日、秋田・由利本荘市内での由利(秋田)との練習試合に先発。3回6奪三振で無失点の好投だった。

変化球主体の投球ながら、3回2死一、二塁では出力を少し上げた。由利の5番柴田を150キロ、149キロ、150キロで1ボール2ストライクと追い込むと、最後は内角に直球を決めた。ロッテ柳沼スカウトのスピードガンでこの日最速となる153キロをマーク。球筋に球場がどよめいた。

ネット裏には8球団21人のNPBスカウトや球団関係者が視察。ヤクルト橿淵スカウトグループデスクは「今年に限らず、今までにもなかなかいない。大谷翔平選手に匹敵する。チーム状況を無視してでも(指名に)いきたい投手」と最大級の賛辞を送った。コメントはしなかったが、DeNA三原球団代表、オリックス福良GMも視察に訪れた。

うなったのはスカウト陣だけではない。3回、由利の1番安保勇咲内野手(2年=左打者)はフルカウントから、空振り三振。直球かと思って狙ったが「いきなり落ちました」と驚くほど、逃げながら大きく落ちるチェンジアップだった。空振りしながらの安保の「ウォーッ!」という甲高い叫びが球場に響く。漫画のようなシーンだった。

いつもは反省コメントが多い佐々木も「今日は思うところに投げられたし、変化球も思うように操れてよかった」と手ごたえを口にした。変化球の精度は上がっており、あとは直球のギアを上げていく。165キロ到達については「あと2キロなんですけど、その壁はすごい高いと思いますが、いつか出るように」とあらためて目標に定めた。この夏、全国で最も注目を集める高校生が着々と夏支度を進めている。【金子真仁】