時代またぎの甲子園連覇へ好発進! 今年のセンバツで平成最後の甲子園優勝を飾った東邦(愛知)が6日にコールド発進した。

センバツ3本塁打の石川昂弥投手(3年)が、今夏の初打席初スイングでいきなりの特大2ラン。4月のU18代表候補合宿で大船渡・佐々木らと対戦。一流投手から刺激を受け、さらにレベルアップした姿を披露した。

   ◇   ◇   ◇   

「ゴキッ」。異質な金属音を残し、石川の打球は糸を引くように右中間最深部の芝生席に到達した。場内は一瞬の静寂ののち、拍手とため息。センバツ決勝で甲子園の同じような場所に打ち込んだ2本のアーチを思い出させる、石川らしい高校通算54号だった。平成最後の甲子園Vから3カ月。世代を代表するスラッガーは進化している。初回の初打席、ストライクを取りに来た外寄りの直球。「カウント2-1だったので、直球を狙っていました」と振り返った。

センバツ直後の4月上旬に行われたU18日本代表候補の国際大会対策研修合宿。大船渡・佐々木や星稜(石川)・奥川恭伸投手(3年)ら高校屈指の投手と紅白戦で対戦。会心の当たりは少なく、木製バットで詰まらされる場面が多かった。「決め球をしっかり絞らないと変化球の切れ、直球のスピードに対応できないと思った」。割り切りの重要性を知り、夏の初戦できっちり結果を出した。打力向上に専心した3カ月間でスケールアップした。

センバツでは決勝の完封を含め5勝を挙げた大黒柱が、今大会は背番号5をつける。勝負どころでの登板機会はありそうだが、チーム力底上げのために「野手」のポジションに置かれた。「試合中に打席に集中できるのはありますね。投手より、疲れないです(笑い)」。ネット裏のスカウトも三塁手としての動きに目を凝らしている。

本塁打の後は、4打席連続で四球を選んだ。計5打席でスイングは1度だけだった。大会前には調子を落としていたが「思い切り振ろうと思っていた。それが結果につながったと思う。今日はよかった。上がってきているかな」と好感触。春季大会は県1回戦で敗退。ノーシードで臨む最後の夏は、平成から令和の時代またぎの連覇がかかる。チームとして4安打とつながりに課題を残したが、主砲のバットにはスイッチが入った。【柏原誠】

▽中日米村チーフスカウト(4人態勢で視察)「いろいろなスラッガーを見てきたけど、夏の最初の打席で本塁打はなかなかない。運も華も技術もある」。

▽阪神筒井スカウト 素晴らしい打球。右に大きい打球を打てるのがいいところだが、まさにその打撃。高校の右の野手では間違いなく高い評価になる。