桐光学園・谷村然(ぜん)投手(3年)が、小田原戦で5回参考ながら無安打無得点試合を達成した。5奪三振、無四球。味方の1失策がなければ「完全」だった。

桐光学園の背番号「10」が躍動した。球質の重たそうな「ズシン」という低重層音が響く。自身最速140キロという直球が、コントロールよく捕手のミットに吸い寄せられた。「ブルペンから走っていた真っすぐで勝負できた。ノーヒットはうれしいですが、あまり気にしていません。自分の役目は、ゲームを作ること。それができたことがよかった」と谷村は言った。

春季関東大会が終わったころから、投球フォームをスリークオーターぎみに、やや下げた。「打者が真っすぐを待っていても負けない真っすぐを投げたかった。フォームを変えて、球が指によくかかり、球の回転がよくなった。球速より球質にこだわりたい。重い球を投げたい」。球速も「137~138キロどまりでは」と、どこまでも殊勝だった。

好きなプロ選手はドジャース前田健太投手で、ユーチューブで、スライダーの投げ方を参考にしているという。「まだ浮き気味の球もあった。丁寧にいきたい」。目標は背番号「1」の奪回。今は、2年の安達壮汰投手が背負う。「もちろん1番じゃなかったから悔しかったけど、神奈川(大会)で好投すれば、チャンスはありますから」。自身初の無安打無得点試合はまるで、気持ちにないようだった。