金足農の夏が終わった。タイブレークに突入した延長13回の死闘。5-8で角館に敗れた。

船木弦主将(3年)はベンチから、さらには三塁コーチとしてナインを鼓舞してきた。昨夏の甲子園準優勝で、新チームの始動は遅れた。公式戦勝利は秋の県大会での1勝のみ。春は地区予選で敗れ、、夏はノーシードだった。「新チームで結果が出せずつらかった」(船木)。それでも夏初戦をサヨナラ勝ちし、再び「ミラクル・カナノウ」を予感させたが、力尽きた。

1月、船木は練習中に意識を失い救急搬送された。医師からは「転換性障がい」と診断。足の感覚を失い、5月上旬まで車いす生活を送った。「最初は普通の生活ができれば良いと思ったが、チームに貢献したくて立てるようになりたかった」。仲間の「待ってるぞ」の声に奮い立ち、夏は主将として声で引っ張る決意が固まった。角館との激戦を振り返り、「代打で1点をプレゼントしたかったが、悔いはない」と前を向く。船木の背中を見てきた後輩たちが、再びカナノウを強くする。【山田愛斗】