創志学園(岡山)・西純矢投手が「リアル二刀流」を全開させた。4回1安打無失点。4番打者としても高校通算23号となる決勝3ランを含む3安打5打点と大暴れした。

この日は「高校四天王」全員が登板。「投球は比べものにならない。(3人に)離されないように」と謙遜した上で「バッティングでは勝っていると思う」と冗談交じりに笑った。

「中四国で1番いい打者は西」と評するスカウトがいる。理想像はYouTubeで参考にするという広島鈴木。3回1死一、二塁、相手左腕・守分のスライダーに本家ばりにバットをぶつけ、左翼ポール際中段席まで先制弾を運んだ。「投手練習より打撃練習が好きで…」と明かす。コーチから「おまえは投手やぞ!」と突っ込まれたこともある。「低めの変化球を見極められるようになった。そこは上達したかな」。人知れず打撃面でも進化を遂げていた。

本業では先発で最速148キロを計測し、7奪三振で無四球。初回、先頭打者に二塁打を浴びた後は打者12人連続でアウトを奪い、視察した広島、ロッテ、西武のスカウト陣に目を細めさせた。昨夏から6、7キロ増やした87キロの体重が土台を安定させ、3月から持ち球に加えたスプリットも「スライダーと同じぐらい自信がある」。確実に器を広げている。

現在は、今春のU18高校日本代表候補1次合宿で同じ釜の飯を食った大船渡・佐々木の投球も研究。「変化球の使い方がすごくうまいなと思って」。ライバル3人はこの日も勝ち上がった。もちろん、打撃以外でも負けない。【佐井陽介】