星稜が2年連続20度目の夏の甲子園出場を決めた。2-2の9回2死満塁で東海林航介外野手(3年)が中越えにグランドスラム。奥川恭伸投手(3年)が9回を2失点完投した。

今秋ドラフト1位候補のエース右腕は14奪三振、最速153キロの熱投で、4季連続の甲子園切符をたぐり寄せた。

奥川が勝って号泣した。整列から目が潤み、ヒーローインタビュー待ちのときには肩を震わせて、しゃくり上げた。「しびれる試合ばかりで、思うことがたくさんあった。今まで頑張ってきてよかったなと思いました」。安どの涙だった。

27日の準決勝・鵬学園戦では7回のピンチから延長10回まで救援で71球を投げており、2日連投。「多少重さはあったけど、回を追うごとにとれてきた」。攻めの姿勢が目立ち、次第にスピードが増していった。公式戦ではセンバツ以来となる本塁打を2本も浴びて、2度追いつかれたが、逆転は許さなかった。9回表。ここで点を取れないとサヨナラの危険性が増す場面で、東海林の満塁弾が飛び出した。

不動の1番打者の東海林だが、準決勝まで打率2割と絶不調。奥川は「結果が出ず、あいつも思うところがあったと思う。東海林をヒーローにしてやりたかった。自分の失点でこういう展開になってしまったが、みんながつないで点を取ってくれた。負けられない、とギアを上げました」。その裏の守り。この日最速の153キロを出し、力強く最後を締めた。技術を高く評価される投手だが、気持ちをボールに乗せるハートの強さも一流だ。

「周囲から勝って当たり前という見方をされて、重圧がありました。自分たちにとって最後の甲子園なので、楽しんで、自分の持ち味を出したい」。重圧から解放されたエースは、会心のビッグスマイルで締めた。