静岡高の小岩和音(あのん)主将(3年)は、優勝を決め、うれし涙を流した。「今までに苦しいことがいくつもあった。それでも支えてきてくれた人たちのこと、これまでの1年のいろんなことを思い出したら、自然と涙が出てきました」。
浜松市の富塚中から静岡高へ。中3夏に草薙球場で行われた静高の試合を観戦して、進学を決めた。「それまでにも静高への憧れがありましたが、実際に試合を見てその思いが強くなりました」。入学後は、10人きょうだいの次男として家庭内で培ってきたリーダー気質を発揮。1年時は副リーダーを務め、現チームでは、今年1月から主将に就任した。
主将就任後の最初の公式戦となった春季大会では、静岡西に敗れて地区初戦敗退。OBらから厳しい言葉をかけられるなど、悩める日々を過ごした。それでも顔を上げ、チームを統率。今年6月に行われた校内合宿では、主軸の斎藤来音(らいね)外野手(3年)と「あるある漫才」を披露するなど、チームを和ませることにも精を出した。
憧れたユニホームを着て、静高進学を決心した地で悲願の甲子園出場を決めた。「それについては、特別な思いはないですね。今は、ただうれしいです」と冷静に話し、この先の戦いへ視線を向けていた。【河合萌彦】
◆小岩和音(こいわ・あのん)2001年(平13)7月9日、大阪府生まれ。浜松市の上島小1年からソフトボールを始める。同年冬から2年間を米国で過ごし、現地リトルリーグでプレーした。10人きょうだいの次男。名前は、ヤマハに勤務する父雅美さんが命名。きょうだいの他9人も音楽を連想させる名がつけられている。右投げ右打ち。172センチ、73キロ。血液型O。