3年ぶり6度目出場の鶴岡東(山形)が6-4の逆転劇で高松商(香川)を下し、15年以来4年ぶりの勝利を挙げた。2回に先制され、3回に追加点を許すも、5回にこの日誕生日を迎えた丸山連外野手(3年)が逆転2点適時打。9回には竹花裕人外野手(3年)が左翼ポール直撃のダメ押し2ランを放った。投げては左腕リレーがはまり、先発・影山雄貴(3年)が6回2失点と踏ん張り、7回から救援の池田康平(3年)が相手の反撃をしのいだ。山形大会5試合で1失策だった守備陣もノーエラーと攻守がかみ合った。14日の2回戦では第2試合で、センバツ準Vの習志野(千葉)と対戦する。

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ナイター照明が灯る熱戦を、鶴岡東が制した。2点を先行される苦しい展開をひっくり返したのは、この日18歳になった丸山だった。5回表1死満塁のチャンスで、4番大井光来捕手(3年)が初球を打ち上げ遊飛。嫌なムードをすぐに振り払った。カウント1-1から、U18日本代表候補の左腕・香川卓摩(3年)が得意とするチェンジアップを捉えると、三塁ベース直撃の逆転2点適時打。「いい投手なので何とか食らいついていこうと思った」と必死の一打で流れを寄せた。8回には右中間を破る二塁打を放ち、山形大会3戦連続本塁打の打撃センスを見せつけた。

2回表の初打席では応援席からハッピーバースデーの大合唱。最後は敵味方関係なく球場全体から拍手が湧き起こったが、「打席に集中していたのであまり聞こえなかった」とお立ち台ではにかんだ。15、16年に同校で出場した兄大さん(亜大3年)を応援席で見つめてから3年。今度は自分が主役になった。

先発の背番号「11」影山は兵庫県出身で、子どもの頃に何度も甲子園に足を運び、阪神藤川の直球に憧れた。6回裏2死二、三塁では、公式戦自己最速の140キロをマーク。四球で2死満塁となり、最後は138キロ直球で空振り三振を奪うと、渾身(こんしん)のガッツポーズで喜んだ。「この舞台だから気持ちが入ったんだと思う。地元の友人も来ていたので勝てて良かった」と凱旋(がいせん)勝利を喜んだ。

甲子園練習が行われた2日は、佐藤俊監督の48回目の誕生日だった。夕食時にサプライズでハッピーバースデーを全員で合唱すると、一見こわもて? の佐藤監督が相好を崩した。選手たちは「プレゼントは9日の甲子園勝利」と内緒で誓い合い、有言実行してみせた。県決勝前日の7月23日、佐藤監督は「甲子園に連れて行ってくれ」と選手に声をかけた。「そんなこと絶対に言わない人なので、その言葉を聞いて燃えた。監督の野球を全国で披露したいと思った」と大井。投打がかみ合い、県大会で1失策の守備陣もノーエラー。センバツ出場の強豪相手にチーム一丸となってつかんだ勝利だった。【野上伸悟】