日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)が将来性を先物買い! 7~9日まで夏の甲子園を視察した中で、事前情報ほぼゼロから目に留まった3人の打者をピックアップした。ドラフト候補の旭川大高の持丸泰輝捕手、鳴門の4番浦和博外野手、沖縄尚学の走攻守の3拍子そろった水谷留佳内野手(いずれも3年)を好素材と評した。

   ◇   ◇   ◇

持丸はとにかく打撃がシンプルでいい。バットを早めに寝かせてトップで構え、素直に振るだけ。野球は打つ、投げる、守る、いずれも準備のスポーツ。打つ準備ができているから、7日の星稜戦も奥川の150キロを超える速球にも鋭い変化球にも対応できていた。9回の右飛も風がなければスタンドインしていただろう。

ロッテ福浦さんも打撃開眼したのはイチローさんをまねて、バットを寝せ、早めにトップをつくるようになってから。この形は個人で合う、合わないはあるが、高校生で早くも自分の形にしている。ソフトバンク中村晃に似たタイプで、すごいヒットマンになりそうな感じもする。ポジション的にも打てる捕手というのは魅力的だ。

浦はボールに対し、スイングの軌道がラインに長く入り、ヒットゾーンが広い。テニスで面を捉えるようなイメージ。バットコントロールの良さが、徳島県大会と甲子園大会を通じて33打席で三振ゼロの数字に表れている。リストが強靱(きょうじん)で、人より強くしばくこともできる。ボールの下をたたいて少しこする技術を覚えれば、飛距離も自然と出るようになる。

水谷は二塁手で外野の芝生にかかる深いポジションで守っていた。昨夏も報徳学園の小園(現広島)が遊撃手で同じような位置取りだった。ヒットゾーンが狭まるが、肩の強さも必要になる。走力もまずまず。打撃は外国人のように左打席で打った後、軸足の左足がボックスから出るぐらい前に出ていた。腰が引けるかかと体重にならず、つま先に体重が乗っている証拠。柔らかさもあり、バランスがいい。守備をもっと磨けば、西武の源田のような選手になれる素質を秘めている。

3人に共通するのは、ヒットゾーンとなるラインにバットを長く入れられること。今秋のドラフトにかかったり、アマチュアで次のカテゴリーに進んだり、進路は分かれるだろう。目立つ存在ではないが、スカウト冥利(みょうり)に尽きる、育てる素材になるだろう。

◆持丸泰輝(もちまる・たいき)2001年(平13)10月26日、北海道。永山中では軟式野球部で投手として活躍。旭川大高では1年春からベンチ入り。昨夏甲子園は1回戦の佐久長聖戦で「4番・左翼」で先発し、4打数1安打。178センチ、76キロ。右投げ左打ち。

◆浦和博(うら・かずひろ)2001年(平13)5月1日、徳島県生まれ。津田中では徳島東リトルシニアに所属。鳴門では2年夏から2年連続甲子園出場。今夏県大会では18打数11安打で打率6割1分1厘をマークした。172センチ、74キロ。左投げ左打ち。

◆水谷留佳(みずたに・るか)2001年(平13)4月6日、沖縄県生まれ。高江洲中時代はうるま東ボーイズに所属し全国大会出場。沖縄尚学では1年夏からベンチ入り。今夏県大会は21打数9安打、打率4割2分9厘。176センチ、77キロ。右投げ左打ち。