「令和の怪物」が衝撃の全国デビューだ。U18W杯(30日開幕、韓国・機張)に出場する高校日本代表が26日、大学日本代表と壮行試合に臨み、大船渡・佐々木朗希投手(3年)が先発。

神宮球場の表示で最速156キロ、複数球団のスピードガンで158キロをマークするなど直球は全8球が150キロを超え、1回を左飛、三振、三振で無失点に抑えた。右手中指に血マメができかけ、大事をとって1回で降板したが、日米プロ15球団ちょうど100人のスカウトらに桁違いのスケールを披露した。

   ◇   ◇   ◇

佐々木が衝撃的な速球で、2万8000人超の視線を一身に集めた。投じた1球1球への声援が、耳にダイレクトに届く。「この大勢の観客の中ですごく楽しんで投げられました」。1回無失点の全国デビュー。夜の神宮で「歓声が力になりました」とすがすがしかった。

1番宇草に、いきなり152キロで左飛。2番小川はフォーク、3番柳町は直球で連続三振に斬った。12球のうち、直球は全8球が150キロを超えた。小川への3球目は、球場表示でこの試合最速の156キロ。真ん中付近でも空振りさせた。直球の平均球速は153・8キロ。落差抜群のフォークも交え「圧力も雰囲気もすごかった」という大学トップ級の打者たちを、力でねじ伏せた。

150キロ台の連発に球場のどよめきが消えない。拍手もなりやまない。ネット裏で見守った母陽子さんも「何だか、とてもうれしかったです。違うかもしれないけれど、朗希の時に歓声が一番大きかったんじゃないかって。感動しました」と次男が作り上げた空間に酔いしれた。

初めての大舞台、初めての国際球。慣れないことは多い。「ボールに対してどういう意識をつければいいのか」と考えながら、合宿中のブルペンでも練習を重ねた。登板中、右手中指に血マメができかけた。当初は2イニングの予定だったが、念のため1回無失点で降板。ばんそうこうを貼り、仲間への声援に回った。マメは小さなものとみられる。

都心の夜風に吹かれ、初めて岩手県外で公式戦を経験した。余韻に浸る時間はない。28日には韓国に渡り、30日にはW杯が開幕する。「日本はまだ世界一になったことがないので、このメンバーで世界一になれるように頑張りたい」と誓う。帰国後の10月17日には、運命のドラフト会議が待つ。猛烈な剛速球という希代の才能を備える17歳の世界は、ここから加速度的に広がっていく。【金子真仁】

 

▽法大・宇草(佐々木の初球152キロを左飛)「速球の印象を持って思い切って振ったけど、思ったよりシュートしてバットの先っぽに当たり左飛でした。空振りすれば良かったです。ただ、直球と分かっても捉えきれない直球でした」

▽国学院大・小川(佐々木の134キロフォークに三振)「背が高いので近く感じるし、圧を感じました。速いと感じた球が156キロ。ビックリしました。今まで対戦したことのない、初めての感覚でした」

▽慶大・柳町(佐々木の152キロ直球に三振)「真っすぐも速いけど僕にはフォークを投げてきて、それがよかった。球速以上に速く感じる投手でした」