最速163キロの大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)が2日、大船渡市内で記者会見し、国内プロ志望を表明した。既に日本ハムが1位指名を公言するなど複数球団の競合が予想されるが「高いレベルに挑戦したい」と志望理由を語り、17日のドラフト会議は12球団OKの姿勢で待つ。会見で地元三陸への恩返しを何度も口にした「令和の怪物」。自己最速更新、投手タイトル総なめと、大きな夢を抱いて、プロの世界に飛び込む。

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思いを語る前に、佐々木は6回、つばをのみ込んだ。立ち上がって、右手にマイクを持ち「本日は私のためにお集まりいただき、ありがとうございます。今日の午前中にプロ志望届を受理していただきましたことをご報告いたします」と深々と一礼した。

4月に高校日本代表1次候補合宿で163キロを出し、米大リーグの球団からも大きな注目を浴びた。しかし、希望進路について「揺れたことはありませんでした」と、一貫して国内プロを志していた。「今はメジャーについてあまり考えられないので」と添えた。「もっと高いレベルに挑戦したい」。高校1年冬に芽生えた思いを、17日のドラフト会議に託す。

日本ハムが1位指名を明言し、新たにオリックスも指名することが判明した。過去最高の素材とも評され、複数球団の競合は確実だ。「12球団どこでも、頑張りたいと思っています」と運命を天に委ねる。どのユニホームを着ても、やることは変わらない。「これまでたくさんの人に支えられて頑張れた。恩返しできるように頑張っていきたい」。地元三陸への思いを会見中、何度も口にした。

9月上旬のU18W杯では1回で降板するなど、手指の血マメに苦しんだが、すでに練習は再開している。プロに進めば、異次元の球速にはより多くの注目が集まる。「次のステージで野球をやる上で、超えていきたいと思っている数字」と163キロを捉えている。さらに「プロに入ったらタイトルを全て取れるような選手になりたい」。大きな夢を掲げ、ドラフトを待つ。【金子真仁】

○…佐々木が東日本大震災の前に暮らしていた陸前高田市では、大津波に耐えた一本松の約1キロ北に新球場の建設が進んでいる。球場名は「楽天イーグルス 奇跡の一本松球場」。同市とスポーツ交流活動パートナーシップを結ぶ楽天の名が冠につく。4800人収容で、スピードガンも設置の予定。早ければ19年度末に完成する。市関係者は「プロ野球の試合を誘致できるよう規格を考えました」と話し、球場開きとしての楽天2軍戦開催を熱望した。イースタン・リーグ所属7球団に指名されれば早期の“里帰り”もありそうだ。