東海大札幌が岩内を6-3で下し、3年ぶりに秋全道大会初戦を突破した。5回から途中出場した背番号13の佐藤颯太一塁手(2年)が、4-1の6回2死満塁で右前2点適時打を放ち突き放した。

地区予選からすべて途中出場で、4打席3安打、1四球と全出塁。けん玉仕込みの柔らかな膝使いを生かす打の“スーパーサブ”が、5年ぶりセンバツ切符のキーマンになる。2回戦では北海道栄、札幌日大が、ともに2年ぶりに8強に進出した。

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東海大札幌の仕事人が勝利への流れを引き寄せた。佐藤は5回に代打で出場すると中前打で出塁。3点リードの6回2死満塁では、右前に2点適時打を放ち粘る岩内を突き放した。「出たら結果を出せないと次はない。強い気持ちで打席に立てた」。地区から3戦連続で代打に器用した大脇英徳監督(44)も「もともと打撃は良い。よくつないでくれた」と喜んだ。

勝負強さの裏には、苫小牧美園小4年から趣味で始めたけん玉の存在がある。「けん玉は膝を使わないとうまくできない。小さいときから遊びでやってきたことが、打撃に生きている」。検定試験など失敗が許されない緊張した場面でも、確実に膝を使い器用に大技を決めてきた。その経験も、代打職人としての精神的強さにつながった。

今夏まで捕手も、前チームから正捕手の小林陽太(2年)がおり、定位置をつかむため新チームでは一塁手に挑戦している。「捕手と動きが違い、打球への1歩が遅い」と守備に課題があり、地区は背番号3も、すべて途中出場。全道では13番になり「もっと貢献して、レギュラーをつかみたい」と前を向いた。

夏まではプロ注目右腕で主砲の小林珠維(3年)ら長打で状況を変えられる軸がいたが、大脇監督は「新チームは全員で1点ずつ取る」という。佐藤が3番の代打に入り結果を出せば、3回と5回には4番川田理功三塁手(2年)が送りバントを決めるなど、計6犠打を絡めた。打順も先発も控えも関係ない。全員が状況に応じた役割を果たし、5年ぶりの聖地を目指す。【永野高輔】