強打の帝京だ。今夏甲子園8強の関東第一を破り、ベスト8に駒を進めた。

1回表にいきなり3点を失ったが、その裏すぐに3点を返し、追い付いた。その後も小刻みに加点。計11安打9得点で、追いすがる関東第一を押し切った。

前田三夫監督(70)は「打線が今日は随分つながった。初回に3点を取られたけど、慌てなかった」と冷静に振り返った。

軸となったのが、この秋から5番に座る小松涼馬二塁手(2年)だ。1回1死満塁で、反撃ののろしとなる犠飛。3-3の3回1死一、二塁では、勝ち越しとなる左中間への2点適時二塁打。1点差に迫られた直後の5回は、1死から左越えに高校通算9号ソロで突き放した。

7回1死一、二塁でも中越えに2点適時二塁打を放った。3安打6打点。4打席全てで打点を挙げる大暴れだった。

今夏の東東京大会では4番を任されたが思うように打てず、チームも4試合で計6得点だけ。5番に回った今回の東京大会も、1回戦、2回戦とも単打1本ずつにとどまった。「打ち方を変えたりしたのですが、うまいこといきませんでした。単純に、きた球を打とうと積極的に振りました」とシンプルに徹した。全打席で初球ストライクを振り、結果を出した。

前田監督は「あまり調子は良くなかったけど、練習して調整して、さすが。きちっと感覚をつかんだよ」と目を細めた。4番から5番にしたのは「一番経験がある選手。5番に置くことでチームが安定し、打線がつながる」と、1年夏からレギュラーを張る小松を9人の真ん中に置くことで、打線のつながりを呼ぶ狙いがある。

1回は、小松の犠飛の後、6番の御代川が2点適時二塁打。7回も、小松の2点適時二塁打の後、御代川が適時三塁打とつながった。

次戦で、日大三と東海大菅生の勝者と4強をかけて戦う。11月3日、神宮第2球場での第2試合が予定されている。どちらも手ごわいが、前田監督は「次の試合も大事。第2の最後。ここまで来たんだから、あとは1つ1つ」と気を引き締めた。

同球場は、東京五輪後に取り壊されるのが決まっている。第2で行われる高校野球のラストゲームだ。