最後の勝者は、どちらに-。高校野球秋季東京大会は、2、3日に神宮第2球場で準々決勝4試合が行われる。3日の第2試合は「帝京-日大三」という屈指の好カード。61年から親しまれてきた東京における高校野球の“聖地”だが、東京オリンピック(五輪)のため高校野球の使用は3日が最後。五輪後に取り壊される。ラストゲームで帝京・前田三夫監督(70)日大三・小倉全由監督(62)の名将が激突する。

帝京と、前田監督と、やれる。小倉監督は「前田さんに痛めつけられ鍛えられ、その前田さんの帝京を破って甲子園に行き成長させてもらった。前田さんと最後の神宮第2で試合ができる。そういう星の下に生まれたのかなと思いますね」と感謝した。

81年に関東第一の監督に就任した。帝京は前年センバツ準優勝。都大会での大きな壁だった。「打倒・前田監督」とライバル心を燃やし、85年夏に甲子園初出場で8強入り。強豪へ育て上げた。

似た感慨を前田監督も抱く。「しのぎを削った監督さんとやる。これも縁なのかなあ。神宮第2が、その日で終わる。しかも、第2試合。最後にふさわしい試合がしたい」。静かに闘志を秘めた口調だった。

敵将に昔の自分を重ね合わせる。「私も早実(前監督)の和田さんに負けて強くなった。帝京が力をつけた頃、関東第一も小倉さんが力をつけてきた」。先人に追いつけ、追い越せでやってきた。だから、小倉監督に「負けるわけにはいかない」と奮い立ってきた。

甲子園通算51勝(優勝3回)の前田監督に、同37勝(優勝2回)の小倉監督。ともに神宮第2を知り尽くす。両翼91メートル、中堅116メートルと狭い。小倉監督が「第2の戦い方がある。どちらかに1発が出れば打ち合いになる」と予想すれば、前田監督も「随分、勝たせてもらった。遠くに飛ばす選手をそろえてね」。日大三が2連勝中(17年春、秋)だが、帝京は今大会ここまで3試合計31得点を誇る。

公式戦は2年ぶりだが、今夏も対戦した。東西東京大会前、ともに最後の練習試合の相手に選び「お互い、頑張ろう」と誓い合った。センバツへ続く道程で再び相まみえる。神宮第2の幕を勝利で閉じる気持ちは譲れない。【古川真弥】