福島県高野連は5日、福島市内で理事会を開き、磐城を来春の第92回全国選抜高校野球大会(甲子園)21世紀枠県推薦校に選出したことを発表した。

今秋は県3位で東北大会に出場し、2勝を挙げて8強進出。テスト前の部活休止期間のため制服姿で吉報を聞いた岩間涼星主将(2年)は「野球だけでなく勉強も含めた文武両道でやってきたことが評価されたと思う。これまで以上に、私生活から襟を正していきたい」と気を引き締め直した。

台風19号での甚大な被害も乗り越えようとしている。10月12日夜に被災。11日に東北大会(岩手)1回戦で勝利後、いわき市に戻っていた。14日の2回戦に備えて13日朝に学校を出発予定だったが、影響を考慮して午後1時に集合。断水だったが、幸いなことに部員の浸水被害はなかったため、出場継続を決断した。周辺はドクターヘリが飛ぶなど緊迫した状況。高速道路の開通を待って、再度岩手入りして結果を出した姿は被災地にも勇気を与えた。

大会後はグラウンドが浸水したラグビー部、サッカー部に野球場を受け渡し、浸水被害が大きかった地域でボランティア活動を行ってきた。練習を再開したのは先週から。岩間主将は「思っていた以上に残酷な景色。3・11(東日本大震災)を思い出した。地域の皆様のために全力でやることが恩返しだと思ったし、野球でも自分たちのためだけじゃダメだと思えた」と精神的にも強くなった。

71年夏の甲子園準優勝校にとって、選出されれば95年夏以来の聖地。春は74年以来3度目となる。東北地区の推薦校発表は12月13日の予定。来年1月下旬には3校の21世紀枠を含む出場校が日本高野連から発表される。【鎌田直秀】