15日開幕の第50回記念明治神宮野球大会(神宮)高校の部では、仙台育英(東北・宮城)が5年ぶり3度目の優勝を狙う。「挑む! 日本一からの招待」の第2回は、今夏の甲子園8強入りに貢献した「3番左翼」宮本拓実外野手と「4番遊撃」入江大樹内野手(ともに2年)の中軸に注目。経験値を生かし、技術も精神も成長曲線を描き続ける思いに迫った。【取材・構成=鎌田直秀】

     ◇     ◇     ◇

日没が日増しに早くなる仙台で、得点源の2人がバットを強振する。宮本は「甲子園では2番でしたけれど、今はチームの中心になっていかないといけない自覚はあります。甘い球を簡単には(ストライクゾーンに)通してくれない。1球を仕留めることが重要」。打席での最初のスイングで安打を放つにはどうしたら良いのか。「どんな時にも初球を大事にしています」。練習から1球目に集中する姿勢を徹底している。

今夏の甲子園では17打数6安打5打点。だが、準々決勝では星稜(石川)に1-17の大敗を喫した。秀光中教校(宮城)時代にU15日本代表で出場したアジア選手権で満塁弾を放ったこともあるが、「自分より上がいることを痛感した」と危機感を抱いたのも事実だ。

来春のセンバツ出場を大きく引き寄せた東北大会準決勝の盛岡大付(岩手)戦。変化球2つで2ボール後、「最初にストライクゾーンに来たストレートを、しっかり打てたことは成長の1つ」と中越え適時打。各地区を制した好投手にも、持ち味でもある逆方向への長打を重ねる準備は整ってきた。

入江も4番の自覚に満ちている。「塁にいるランナーを全部かえすのが仕事。長打でも単打でもいい」。宮本が甲子園で活躍した一方で、17打数4安打と苦しんだ。一番の反省は全4戦で0打点と3番打者の役割を果たせなかったこと。「アウトコースをしっかり振ることが出来なかった」と自己分析。置きティー打撃などで下半身を強く使える新打撃フォームを構築中だ。田中祥都主将(2年)とチームを支えるために性格も変化しつつある。積極的な声がけに、同主将からも「(入江)大樹は普段は多くを語らないタイプだけに、ひと言の影響力が大きい」と信頼され、精神面でも先頭に立つ。

16日に迎える初戦の2回戦では関西王者の天理(近畿・奈良)と対戦する。大阪桐蔭が記録したチーム59安打の大会最多記録を破ることも目標の1つ。仙台育英打線爆発を、大舞台の悔しさを知る2人が導く。