明徳義塾(四国・高知)と星稜(北信越・石川)の27年ぶりの公式戦対決は、明徳義塾が中盤に8点を奪って打ち勝った。92年夏の甲子園では明徳義塾が星稜・松井秀喜を5打席連続敬遠した采配を巡って社会問題にもなった。

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あの5打席連続敬遠から27年。当時は監督だった星稜・山下智茂名誉監督(74)をはじめ両軍OBも見守る中、当時生まれていなかった選手たちが激突した。

明徳義塾の馬淵史郎監督(63)は「今日は小細工はあまり使わなかった。チャンスでたたみかけないと全国ではなかなか勝てない」と攻めた。1点先制された直後の4回は無死一塁でも犠打は使わず。3本の安打に犠飛、敵失を絡めて4点を奪い逆転した。5回も無死一、三塁で2番打者にスクイズではなく強攻させ空振り三振。だが、3番鈴木大照(だいしょう)捕手(2年)が左翼へ3ランをたたき込んだ。鈴木は「(92年の)試合はテレビで見た。あれは作戦で悪いことではない。監督からはお前らには関係ないと言ってもらったが、絶対勝ちたかった」と思いを結果で示した。

92年当時に遊撃を守っていた星稜の林和成監督(44)は「あまり意識しないように、相手ベンチを見ないようにした。百戦錬磨の監督。どこで何を仕掛けてくるのか…。力不足。出直します」と悔しがった。老練に立ち回って今回も軍配を上げた馬淵監督は「チーム力は星稜さんが上。でも勝敗がこうなるのが野球の面白いところで難しいところ」と涼しげだった。【石橋隆雄】

▽ヤクルト市川(明徳義塾の17年同大会優勝投手。スタンドで観戦し)「初戦突破おめでとうございます。粘り強く戦っていました。優勝を目指して頑張ってほしいです」

◆92年の星稜対明徳義塾 8月16日、夏の甲子園2回戦で対戦。明徳義塾は超高校級スラッガー松井に対し、徹底して勝負を避け、5打席連続敬遠させた。松井は1度もバットを振れず2-3で敗退。試合終盤には観客席からメガホンなどが投げ込まれ、明徳義塾の校歌斉唱時には「帰れ」コール、宿舎には抗議電話が殺到した。松井は敬遠されても淡々と一塁に走り、試合後は「悔しい。敬遠? それが相手のやり方。自分は知りません」と悔しさを押し殺してインタビューに応じた。その後も「高校野球らしくない」と大きな反響を呼び、社会問題にまで発展した。