高校の部で初出場の白樺学園が初戦で国士舘(東京)に4-3で競り勝ち、4強に進出した。2-2の7回1死一、二塁で3番宮浦柚基二塁手(2年)が勝ち越しの右越え2点適時三塁打を放った。

優しい性格の主将、業天汰成捕手(2年)を叱咤(しった)し、チームを影でまとめる「鬼の副将」が勝利に貢献した。18日の準決勝は明豊(九州・大分)-高崎健康福祉大高崎(関東・群馬)の勝者と対戦する。

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かっ飛ばした。同点の7回1死一、二塁、宮浦は国士舘エース中西の甘く入ったシンカーを逃さなかった。白球は神宮の青空に舞い上がり、右翼手の頭を越えた。二塁を蹴り一気に三塁を陥れると、右拳を高々と挙げ、仲間の歓声にこたえた。「右中間に流すのではなく、引っ張るイメージで。練習してきたことが出せた」。東京都大会準決勝、決勝と18イニング無失点の好投手から4点目をもぎ取り、流れを引き寄せた。

ストイックな姿勢が大舞台で生きた。全道大会は17打数7安打5打点。打率4割1分2厘と活躍も、札幌日大との決勝で1点リードの8回1死三塁に遊ゴロに倒れたことが、引っかかっていた。「数字が出ていてもチャンスで打てないと意味がない」。関東入り後、宿舎の駐車場で「スイングスピードを上げるため」と、1日300スイングのノルマを倍の600回に増やしバットを振り続け、汚名返上につなげた。

実家は学校のある芽室町の隣の帯広市。自転車で通える距離も、中学時代から十勝選抜でチームメートだったエース片山楽生(らいく、2年)と相談し「常に一緒にいた方が意思疎通しやすい」と、あえて寮生活を選んだ。精神的支柱で新チーム発足時は主将候補。あえて心優しい業天主将を支える副主将となり、業天が厳しく指摘できないときは「はっきり言えよ」と引き締め役を担ってきた。“鬼の副将”が、神宮で2安打2打点とけん引した。

エース片山も8回1/3、3失点と踏ん張り勝利投手に。「楽生が頑張っていたので助けたかった。自分が打ってサポートできて素直にうれしい」。十勝勢初の秋全道制覇から神宮1勝と、さらに歴史のページを進めた。次は道勢2連覇の快挙へと突き進む。【永野高輔】

▽白樺学園の戸出直樹監督(44) 相手が好投手だったので右打者、左打者それぞれ対策は練っていた。集中打も出て、半信半疑だったものが確信となり、自信になってくれたら。

◆北海道勢4強 74年の札幌商が初4強で、白樺学園は昨年の札幌大谷に続き2年連続13度目となる。最多は北照の3度(99、11、12年)で、鵡川の2度(03、08年)が続く。決勝進出はともに優勝した05年駒大苫小牧、昨年札幌大谷の2校。