明治神宮大会初出場の高崎健康福祉大高崎(関東・群馬)が、白樺学園(北海道)に競り勝ち決勝進出を決めた。準決勝第2試合の天理-中京大中京の勝者と20日に対戦する。

決勝戦へ向けて青柳博文監督(45)は「天理さん、中京大中京さんのどちらが決勝に来ても、うちとは力の差があります。こちらは何とか接戦に持ち込みたい。うちは国体準優勝が最高です。何とか日本一になりたい。決勝ではメンバーをフルに使って戦いたいです」と、全国制覇へあと1勝に闘志を見せた。

試合を決めたのは、選球眼に定評のある高崎健康福祉大高崎らしからぬ、意外なバッティングだった。7回2死三塁。山畑陸内野手(2年)は2球で2ストライクと追い込まれた。「2ストライクに追い込まれたので、ストライクゾーンを広めに、足を上げずにすり足を意識しました」。片山楽生投手(2年)の3球目、127キロの変化球はベース付近でワンバウンドする明らかなボール球。これを山畑は三塁線を抜く貴重な決勝タイムリーに仕留める。鮮やかな“ワンバン打ち”で決勝点を奪った。山畑は試合後にその場面を振り返ると顔を赤らめながら「恥ずかしいです」とポツリ。「チームとして選球眼をテーマにしているのに、あんなボールに手を出してしまって…」と、反省ばかりが口をつく。チームメートからは「すごいな」と声をかけられたが、悪球打ちに味をしめたわけではない。「次、似たようなボールが来たら、見逃します」と即答した。

青柳監督も「ああいうボールは振らないように練習しているんですけどね。よく当てました。執念ですね」と、高校レベルではなかなか見られない珍しいバッティングにほおを緩めていた。

ホームランあり、もう少しでホームスチールの場面もあり、そして決勝点は悪球打ち。高崎健康福祉大高崎のバラエティーに富むスタイルは、今年の明治神宮大会で異彩を放っている。

◆主なワンバウンド打ち プロではオリックス・イチローが00年、ロッテ後藤のワンバウンドしたフォークを、ゴルフスイングのような軌道で右前打。巨人松本は09年、横浜寺原のスライダーにバットを止め右翼線二塁打に。10年には中日投手の山内が、オリックス木佐貫に対しゴルフのアプローチショットのようなプロ初安打で2打点。昨年はヤクルト雄平が8月16日巨人戦で山口俊のフォークをすくい上げ、先制2点適時安打。甲子園では13年センバツで上林(仙台育英=現ソフトバンク)が創成館戦の2回、満塁から2点適時二塁打を放った。