第92回センバツ高校野球(3月19日から13日間=甲子園)の出場32校を決める選考委員会が24日、大阪市の毎日新聞大阪本社で行われ、山梨学院(山梨)が2年連続で選出された。

昨秋は関東大会準優勝で、センバツ出場は確実視されていたが、選手たちに気持ちの緩みは一切ない。新チームには、昨年、チームをけん引した野村健太外野手(3年)のような主砲が不在。吉田洸二監督(50)は「秋は奇跡的に勝ち抜けた。強さはないが負けにくいチームなのかな」と評価。バントにスクイズ、盗塁と機動力に勝ち抜くすべを得て、準優勝を手にした。

しかし、パワーと打力をつけなければ全国で戦えない。それを一番知る4番・栗田勇雅捕手(2年)がチームを引っ張る。強肩強打を武器に1年夏からレギュラーを獲得。3度の甲子園で、その厳しさは痛いほど知っている。「自分には先輩の野村さんのように、飛び抜けているものがない。物足りない。もっと練習しなければ」。昨秋は公式戦でチームトップの4割8分5厘の打率で11打点を挙げるも、本塁打はわずか1本。「4番を任されている以上は打点にこだわりたい。でも、ここというところで本塁打を打ってチームに流れをもってきたいんです」と理想の4番像を掲げる。冬はウエートトレーニングに、強くスイングをする練習を徹底。手のまめがつぶれてもフルスイング。「高いレベルの野球についていけば、上でも通用する。ここで負けちゃいけないんです」と歯を食いしばる。思い描くのは、昨春、目の前で見た野村の本塁打。「自分も本塁打を打って、大歓声を浴びながらダイヤモンドを走ってみたいです」と目を輝かせた。

吉田監督は「去年は谷底世代なんて言っていた。でも、今年はもっと下。地中…マグマの時代なんですよ」と笑う。しかし、選手たちは地道な練習を積み重ね、はい上がる気持ちは誰よりも強い。最強世代と言われる春へ。今日も、選手たちはひたむきにバットを振り続ける。